1.はじめに
「レールの幅」という表現があります。これにまつわる笑い話と軌間(ゲージ)に関するお話です。
その前に質問ですが、「レールの幅」って写真1~3のどれのことでしょう? ちょっと考えてみてください。
2.レールの幅
ある方に聞かれました。「レールの幅ってどれぐらいあるんですか?」
私は親指と中指でだいたいの寸法を示しながら答えました。「現在多く使われているのは50kgNレールと60kgレールだけど、いずれも頭部は65mm…こんなもの。それから底部はそれぞれ127mmと145mmだったかな。だからこれぐらい…」
ところが、お聞きになった方は何とも表現のしようのないお顔です。「そうではないんだけど、どう言えばいいのか…」という感じでした。
レールとは、レール/軌きょう/軌道/線路という記事に記した通り、鋼製の細長い物体のことです。したがって私は写真1記載のA寸法あるいは写真2記載のB寸法が「レールの幅」であると解釈したわけですが、お聞きになった方はどうも写真3記載のG寸法を知りたかったようなのです。
3.軌間
写真3記載のG寸法は「軌間」(ゲージ)と称します。要するに左右レール間の距離です。お聞きになった方は、軌きょう、軌道、線路のことをレールと称してしまったため、上記のような食い違いが生じてしまったのでしょう。
ところでレールの頭には丸みがついています。左右レール間の距離と言ってもどこを測定すればよいのでしょうか? 実はJIS E1001「鉄道-線路用語」で下記のごとく定義されています。文中の「所定距離」は、現在の国内の鉄道では14mmです。
【軌間】軌道中心線が直線である区間におけるレール面上から下方の所定距離以内における左右レール頭部間の最短距離。
文章にするとめんどうですが、要するに写真4のごとく「レール面から下方14mm以内における左右レール間の最短距離」ということです。
しかし、改めてネット検索してみると、軌間という意味で「レールの幅」という表現が用いられている事例が多いんですね。ちょっと驚きました。
4.まとめ
左右レール間の距離を軌間(ゲージ)と称します。「レールの幅」というと、1本のレールの幅を示すことになってしまいます。
以上
ちかてつの
さかてつでした…