1.はじめに
「メトロ王子線」という題を見て「鉄道路線名にそんなものは無いよ」と思われたかもしれません。しかし「メトロ王子線」は鉄道ではなく「配電線路」の名称なのです…。
2.鉄塔趣味
世の中にはいろいろな趣味があるものです。その中に「鉄塔(送電鉄塔)」という分野があるそうです。
電力は発電所→変電所→需要家と、送電線路および配電線路で供給されるわけですが、これらの線路には鉄道と同様に〇〇線という名称が付されています。この名称が記された鉄塔をNo.順に次々に追いかける…というのが「鉄塔趣味」のようです。愉しそうですね。
例えば送電線路に関してですが、下記のようなものがあります。鉄道好きの方であれば妙に反応してしまうのではないでしょうか?
北千住線、奥多摩線、昭島線、練馬線、所沢線、国分寺線、高井戸線、杉並線、福生線、拝島線…
「おもしろそうだ!」と思われた方、新たな趣味にしてみてはいかがでしょうか?
3.メトロ王子線とは
さて、今回なぜこんな話になったかというと、王子車両基地の地上に何があるか調査しているうちに「メトロ王子線 No.4」という鉄塔に気づいたからです。
この鉄塔がある場所は、王子車両基地の北端、隅田川の近くです(写真1)。ちょっと調べてみると、メトロ王子線はAC22kV2回線で、鹿浜変電所からここまでの短い配電線路です。隅田川を北から渡ってきてこの場所に至り、No.4鉄塔から地下にもぐり込んでいます(写真2)。メトロ王子線の鉄塔はたった4本しかないのです。
南北線建設史を参照すると、東京メトロ南北線には現在7か所の変電所があり、王子神谷駅に王子変電所が設置されている旨記載されています。(受電場所の住所は王子神谷駅と一致します。)No.4鉄塔から地下にもぐった22kV配電線路は、地下を通って王子変電所に至っているようです。
王子変電所で直流1500Vに変換された電力は南北線の電車に供給されています。「地下鉄電車に電気エネルギーを供給するための動脈なんだ」と思うと、鉄塔(写真2)がとてもかっこよく、頼もしく見えてきました。
4.まとめ
メトロ王子線は、東京メトロ南北線に電力を供給している配電線路の名称です。鉄道路線名と何となく雰囲気が似ています。ちなみに、世の中には「鉄塔(送電鉄塔)」という趣味分野があります。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。