【地下鉄好きの方へ】南北線は目黒駅付近のどの建物の下を走っているか

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1.はじめに

 今回から東京メトロ南北線に関して「トンネルはどこにあるか(地図記載の経路は正しいのか)」を連載します。

 南北線は、目黒駅で東急目黒線相互直通運転をしています。目黒線の地下経路は地上時代とほぼ同じなのでわかりやすいのですが、南北線はいくつもの建物の下を突き抜けているため、その経路はわかりにくくなっています。ちなみに、地図記載の南北線経路は必ずしも正しくありません。

2.急曲線で建物の下を突き抜ける

 東急目蒲線の目黒駅は1997年に地下化され、20mほど降下しました。その後2000年に名称と運転系統を変更して目黒線になり、東京メトロ南北線相互直通運転を開始しています。この目黒線の地下経路は、目蒲線地上時代の経路とほとんど変わっていません。

 一方、目黒駅から北方に続く南北線は、東西方向に走る目黒通の下にもぐり込むため、JRの目黒駅とその周辺の建物の下を突き抜けています。この間、南北線トンネルは半径163mという急曲線で約90度曲がります。

3.南北線トンネル上の建物群

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写真1 空中写真(2017年8月)

 写真1は目黒駅周辺の空中写真です。東急目黒線東京メトロ南北線の目黒駅はJR東急目黒ビルの地下にあります。目黒駅を発車した南北線の電車は、半径163m右曲線で向きを90度変え、目黒通の下にもぐり込みます。

 ①~⑥は、南北線がその下を走っている建物です。

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写真2 目黒駅プラットホーム北端

 写真2は目黒駅プラットホームのいちばん北側から撮影したものです。駅は開削工法で建設されましたが、この先は外径9.8mの複線シールドトンネルになります。

 写真2の右奥を見ると、円形断面のトンネルが右にきつく曲がっていく状態がわかります。

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写真3 JR東急目黒ビルの前

 写真3は目黒線南北線の目黒駅から地上に出たところで、ちょうどシールドトンネルが始まるあたりです。写真2の奥の方に相当します。

 南北線は写真3左手前から右奥に向かって曲がりながら進みます。トンネルはぎりぎりのところでJR目黒駅のアトレ1とは干渉していません。

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写真4 JR目黒駅

 写真4の奥にJR東急目黒ビルが見えますが、南北線はこの地下にある目黒駅から写真4左手前に向かって半径163mという急曲線で進んできます。建物①(JR目黒駅の一部)は、その下を南北線トンネルが突き抜けるため、アンダーピニング(地上部はそのままで基礎を造り替える)を実施しています。

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写真5 JR目黒駅前

 写真5は、JR目黒駅の西から南北線トンネル上の建物群を見たところです。南北線は右手から建物①の下を斜めに突っ切り、山手線向う側(東側)の建物②と建物③の下を走っています。

 ネット不動産情報で調べると、建物③は南北線工事着工年と同じく1991年竣工です。南北線建設史に建物③のアンダーピニング工事記録はなく、南北線建設と同時に建替えたようです。

 建物②は1967年竣工で、こちらもアンダーピニングは実施していません。南北線トンネル付近のみ階床が低くなっていますが、竣工時から南北線トンネル通過を見越していたのか単なる偶然なのか、よくわかりません。

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写真6 トンネル上の建物

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写真7 袋小路から見た建物

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写真8 甲陽ビル

 写真6は、目黒通から南北線トンネル上の建物群を見た状態です。南北線トンネルは同写真右奥から左に向かっています。建物④も建物③と同じく1991年竣工で、南北線工事に伴って建替えたものと推定されます。

 写真7は、目黒通から伸びている袋小路です。南北線トンネルは甲陽ビル(建物⑤)と袋小路の地下を写真奥から手前に向かってきます。

 写真8は甲陽ビル(建物⑤)です。南北線建設史には、基礎杭7本のうち5本がトンネルに支障したためアンダーピニング工事を実施した旨記載があります。

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写真9 甲陽ビルと袋小路

 目黒通から見ると(写真9)、甲陽ビル(建物⑤)と周囲の位置関係がわかります。南北線トンネルは甲陽ビルと袋小路の下を通って建物⑥をかすめ、目黒通の下にもぐり込みます。

 建設史には袋小路の場所に建物が記載されています。南北線は、建物や袋小路の位置と関係なく地下を突き進んでいるのです。

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写真10 入口が引っ込んだ建物⑥

 写真10は、甲陽ビル(建物⑤)の前から南北線トンネルが進む方向を撮影したものです。建設史によると、南北線トンネルは交差点の角にわずかに食い込んでいます。

 よく見ると建物⑥の入口が壁面より引っ込んでいますが、これは基礎杭が南北線トンネルと干渉しないようにするためと思われます。

4.まとめ

 南北線は、目黒駅で東急目黒線相互直通運転をしています。目黒線の地下経路は地上時代とほとんど変わっていません。一方、南北線は目黒通の下にもぐり込むため、JRの目黒駅とその周辺の建物の下を突き抜け、半径163mという急曲線で約90度曲がっています。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。