1.はじめに
「東京メトロ丸ノ内線のトンネルはどこにあるか」は一応連載が終わったので、丸ノ内線の経路を調査するに際して参照した資料をまとめてみました。ネット公開資料以外の書籍(紙の本)は、私が購入して所有しているものに限定して紹介しています。どのような書籍か知りたい方のため、アマゾンへのリンクも掲載しました。
2.丸ノ内線全区間に共通する一次資料
下記(1)~(3)は一次資料として参照できる最高レベルのものだろうと思います。これらは近年次々にネット公開されました。以前は図書館で参照するしかなかったので、ネット公開されたときはうれしくて夢を見ている感じでした。Googleなどで「丸ノ内線建設史」「荻窪線建設史」と入力検索すると出てきます。実はこれらは下記(4)に収録されているのですが、(4)の検索機能を使ってもなぜか出てきません。
(1)帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道 丸ノ内線建設史(上巻)」
帝都高速度交通営団(昭和35年:1960年)
(2)帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道 丸ノ内線建設史(下巻)」
帝都高速度交通営団(昭和35年:1960年)
(3)帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道 荻窪線建設史」
帝都高速度交通営団(昭和42年:1967年)
3.準一次資料的なもの(東京メトロ全般)
下記(4)はメトロ文化財団が運営しているサイトで、東京メトロ全般に関する内容となっています。収録されている写真等は一次資料として貴重なものです。上記(1)~(3)もこのサイトに収録されています。
(5)は帝都高速度交通営団時代からの各種パンフレットをそのまま転載した内容が主体であり、その部位に関しては一次資料として扱ってよいと思います。
(6)は東京メトロ全般を知るのによい資料で、東京地下鉄、メトロ文化財団などからの情報提供をまとめたものとなっています。内容としては(4)に収録されているものが多いようですが、いちいちクリックしなくても一覧できるところが書籍(紙の本)の利点です。
(4)メトロ文化財団サイト「メトロアーカイブアルバム」
(https://metroarchive.jp)
(5)東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」
実業之日本社(2014年)
(6)Office Ti+「東京メトロをゆく」
イカロス出版(2010年)
4.その他(東京メトロ全般)
下記(7)~(10)は東京メトロ全般に関して参考になる資料です。なお(7)利用に際しては、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを編集・加工した旨、表記する必要があります。
(7)国土地理院サイト「地図・空中写真閲覧サービス」
(https://mapps.gsi.go.jp/)
(8)竹内正浩「空から見る戦後の東京 60年のおもかげ」
実業之日本社(2014年)
(9)人文社編「古地図・現代図で歩く 昭和三十年代東京散歩」
人文社(2004年)
(10)竹内正浩「地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密篇」
中央公論新社(2016年)
5.丸ノ内線の御茶ノ水駅-淡路町駅間に関する資料
この区間は千代田線と共に大きな建物の下を突き抜けているため、路線経路の位置特定に手間取りました。その際に参照した資料です。
(11)のP.541図66とその前後には丸ノ内線経路に関する記述があります。御茶ノ水駅付近だけでなく、国会議事堂前駅付近に関してP.448図15、山王下付近に関してP.584図104も参考になりました。
(12)には、丸ノ内線と千代田線が下を突き抜けている御茶ノ水ソラシティの基礎構造に関する説明があります。路線経路特定だけでなく、土木建設技術に関して大変興味深い内容となっています。
(13)はバックナンバー参照に際して個人名とメールアドレス登録が必要です。P.3に丸ノ内線経路を特定する記述があります。(12)と同様、建物自体に関する読み物として楽しめます。
(14)は「東お茶の水ビル」に関する資料です。同資料中にこの建物に関するものである旨記載はありませんが、図表から特定することができます。
(11)帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道千代田線建設史」
帝都高速度交通営団(昭和58年:1983年)
(12)小室努ほか「御茶ノ水ソラシティ」
大成建設技術センター報 第46号(2013年)
(https://www.taisei.co.jp/ss/tech_center/report/)
(13)助川覚「ワテラス」
日本ビルヂング経営センター「いしずえ」No.159(2014年)
(https://www.bmi.or.jp/index.html)
(14)縄岡好人ほか「地下鉄振動の伝搬性状に関する研究(その4)」
大林組技術所報No.49(1994年)
(http://www.obayashi.co.jp/)
6.丸ノ内線の東京駅-銀座駅間に関する資料
この区間も路線経路の位置特定が厄介でした。(15)のP.670図148が丸ノ内線経路特定の決定打となりました。(16)も丸ノ内線経路の特定に大変役立った資料です。
(15)帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」
帝都高速度交通営団(平成8年)
(16)阿部智「東京国際フォーラムガラス棟の建設」
コンクリート工学34巻4号(1996年)
(http://www.jci-net.or.jp/j/publish/bulletin/index.html)
7.まとめ
以上が丸ノ内線経路に関する資料です。一次資料と言えるもの、それに近いものを掲載してあります。物事を調査する際は誤りを無くすために一次資料に当たることが重要ですが、一次資料と言えども正しいとは限りません。現地調査が資料以上に重要だと思います。
以上
ちかてつの
さかてつでした…