1.はじめに
「東京メトロ丸ノ内線のトンネルはどこにあるか」を連載しています。
今回は、中野検車区付近の経路に関してです。
2.地図における路線経路
ネット地図含め、世の中に出回っている地図に、中野検車区付近の丸ノ内線分岐線がどのような経路で記載されているか、1963年(同区間開業1962年の翌年)の空中写真に転記しました(写真1)。
丸ノ内線分岐線は検車区の西側すなわち神田川のすぐ脇を南下し、栄橋の角で急角度で右に曲がり、方南通の下にもぐり込んでいます。しかしこんな急角度で曲がれるものでしょうか?
3.現実の経路
丸ノ内線分岐線(建設当時は荻窪線)の建設史で中野検車区付近の経路を調べ、この経路を2019年の空中写真に転記しました(写真2)。
丸ノ内線分岐線は神田川から若干奥まったところ(留置線の真下)を通り、半径300m右曲線で曲がりながら、栄橋の北側で神田川の下を斜めに渡っています。その後、方南通の下にもぐり込んでいます。写真1と比較すると、ずいぶん異なっていることがわかります。
さすがに中野検車区の中には入れませんので、外部から撮影しました(写真3)。ここは神田川に善福寺川が合流する地点でもあります。写真3の右に時代を感じさせる建物が写っていますが、丸ノ内線建設史にはポンプ室と記載されています。このポンプ室のすぐ向こう側の地下を丸ノ内線分岐線が走っています。
丸ノ内線分岐線は、中野検車区南部で大きく曲がると栄橋の北で神田川と斜めに交差します。写真4において丸ノ内線電車は、写真奥から手前に向かって走っています。右端に見える水色の橋が栄橋です。川の下に丸ノ内線分岐線のトンネルがあるわけですが、護岸に埋設物表記はありませんでした。
神田川の西側は、東京都指定清掃業者の敷地になっています。丸ノ内線分岐線は、写真6右手前から半径300m右曲線で曲がりながら、写真5の奥に向かって伸びています。
清掃業者の前にはNo.319換気口(写真6)があります。このあたりで、丸ノ内線は方南通の下にもぐり込んでいます。ところで建設史によると、中野検車区内には4個の換気口があるように記載されています。Googleマップで探すと、まさに建設史記載の場所に換気口がありました。
4.まとめ
中野検車区内において、丸ノ内線分岐線は留置線の真下を通り、方南町通の下にもぐり込んでいます。現実の路線経路は、地図の記載と異なっています。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】
写真1~2は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データ(MKT636-C8-11、CKT20195-C3-1)を私が編集・加工したものです。