定期運賃(少しでも得するために)

 定期券は通勤先・通学先が変わらない限りその区間を変更するということはまずないと思いますし、区間を少し変更した場合にどれぐらい運賃が変わるかということもあまり気にしないと思います。私自身、日頃意識したことはありませんでした。
 今年2019年の10月1日から消費税率が8%から10%に引上げられることに伴い、駅に「運賃・料金改定のご案内」がたくさん置かれています。JR東日本の某駅でいただいてきた「ご案内」を家で眺めていて、おもしろいことに気づきました。

1.定期券の月数により運賃の上がり方(グラフ形状)が異なる

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図1 幹線 通勤定期運賃

 いただいてきた「ご案内」の定期運賃のページには幹線の運賃表が最初に掲載されており、たまたまページいちばん下の100km欄が目に留まりました。なんと、6か月通勤定期券の96~100kmが同じ運賃になっているのに対し、隣の3か月は96,97,98,99,100kmそれぞれ運賃が異なっています。あれ?と思い、幹線の通勤定期運賃をグラフ化(視覚化)してみました(図1)。その結果、下記のようなことがわかりました。今まで私は漠然と「kmごとの運賃の上がり方はいずれの月数でも同じ」と思っていたので、ちょっとした発見でした。

●1か月、3か月
 (1)30kmまで:区分(3~5km)ごとの階段状
 (2)31~50km:(遷移状態)
 (3)51km以上:km比例の斜面状

●6か月
 (1)50kmまで:区分(3~5km)ごとの階段状
 (2)51km以上:「km比例の斜面状」「5km区分一定(階段状)」が交互

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図2 東京電車特定区間 通勤定期運賃

 とりあえず最初に目に留まった幹線に関してグラフ化してみましたが、身近な東京電車特定区間ではどうなるか、こちらもグラフ化してみました(図2)。その結果、幹線(図1)の50km以下を切出した形となっていることがわかりました。もちろんkmに対応する運賃は幹線より安くなっていますが、「1か月、3か月」と「6か月」で運賃の上がり方(グラフ形状)が異なるという点は同様です。
 ちなみに通学定期券の場合、少なくとも階段状にはなっていないようです。(私自身が通学定期券を使うことはないと思いますので、これ以上言及しません。)

2.先の駅まで購入すれば得になる可能性の差異

 よく知られた話ですが、定期券は同じ運賃であれば少しでも先の駅まで購入しておいた方が得です。例えば自宅から勤務先まで16km(1km未満切上げ)電車に乗る場合、16kmの定期券を購入するのではなく20kmの定期券を購入しておいた方が、同じ運賃でより多くの駅に乗り降りできます。これは1か月、3か月、6か月であっても、幹線、東京電車特定区間いずれであっても同じ話です。

 ところが51km以上になると話が変わってきます。幹線の「6か月」の場合、「km比例の斜面状」の範囲においては、同じ運賃でより多くの駅に乗り降りできる可能性はほぼ無くなります。例えば定期券の発駅から50.1km地点と50.9km地点に着駅があればいずれも51kmで同額となりますが、なかなかこのような事例は少ないと思います。それでも10kmごとに現れる「5km区分一定(階段状)」の範囲においては、同じ運賃でより多くの駅に乗り降りできることになります。
 ただし「1か月、3か月」の51km以上は「km比例の斜面状」になってしまうため、同じ運賃でより多くの駅に乗り降りできる可能性はほぼ無くなります。「1か月、3か月」であっても31~50kmは上記の通り遷移状態ですから、同じ運賃でより多くの駅に乗り降りできる可能性がそれ相応にあります。

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 今まで定期券の運賃表をまじめに見たことはありませんでしたが、グラフ化してみると意外とクセがあることがわかりました。ということは、それをうまく利用すれば合法的に得することができる可能性があるわけです。定期券を買い替える際、いろいろ検討してみる価値がありそうです。

【注記】
 1.他の地域・区間、他の鉄道会社に関しては状況が異なります。
 2.区間分割購入、特定区間(他社競合区間)に関しては今回触れていません。
 3.定期券購入・使用時は、勤務先規定から逸脱しないようご注意ください。