千代田線は市政会館・日比谷公会堂の下を走っているか

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写真1 市政会館日比谷公会堂

 日比谷公園の南東、内幸町交差点の近くに、茶色い外観が印象的な市政会館日比谷公会堂(写真1)があります。南側(国会通側)が市政会館、北側が日比谷公会堂で、一体の建物です。1929年(昭和4年)竣工ですからもう90歳ですが、今でも日比谷公園を象徴しているように感じます。

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写真2 内幸町交差点

 市政会館日比谷公会堂のすぐ東は内幸町交差点(写真2)で、地下鉄千代田線がこの交差点で日比谷通から国会通へ(写真2において右奥から左奥へ)直角に曲がっています。もちろん直角と言っても曲線を描いているのですが、この市政会館日比谷公会堂の下を走っているのか否かが気になります。
 まず参考資料1のP.436先「別図 千代田線線路平面図及び縦断面図(湯島・明治神宮前間)」を参照すると、千代田線は内幸町交差点を半径163m右曲線で通過していることがわかります。さらにP.559の「図79 大手町・日比谷間千代田線と6号線平行部平面図」を参照すると、日比谷通においては目いっぱい東側を、国会通においては目いっぱい南側を走っています。図79には市政会館日比谷公会堂が記載されていますが、千代田線トンネルはこの建物から7~8m程度離れたところを通過しているように見えます。1万分の1地図上に半径16.3mmの1/4円を描いてみたら、まさに図79記載の通り市政会館日比谷公会堂から少し離れたところを通過しました。
 また参考資料1には、市政会館日比谷公会堂の基礎を下受けしたような記載はありません。これらのことより、千代田線は市政会館日比谷公会堂の下を走っていないと判断してよさそうです。

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写真3 新幸門

 日比谷公会堂の入口(写真1の裏側)から東に進むと新幸門(写真3)です。日比谷通に面しており、歩道には換気口(赤↓印)があります。この上に立っていると、風が吹き出てくると同時に「ゴーー、キーッ」という音が聞こえてきます。日比谷通の下には、西側(日比谷公園に近い側)に都営三田線(6号線)トンネル、東側(日比谷公園から遠い側)に千代田線トンネルが並んでいます。それではこの換気口はどちらのものかという話になりますが、下記理由より千代田線のものであろうと思われます。
 (1)千代田線トンネルは半径163m曲線で三田線トンネル(直線)を跨いでいる。
 (2)換気口から「キーッ」というフランジ摺動音が聞こえる(=曲線区間)。

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写真4 新幸門

 新幸門の前の換気口(赤↓印)から南を見ると(写真4)、日比谷公園内の右奥に市政会館日比谷公会堂が見えます。千代田線A線の電車は写真4の左から奥の方に向かって半径163mで曲がりながら走っています。

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写真5 幸門

 内幸町交差点(写真2)のすぐ近くにあるのが幸門(写真5)です。左奥には交番が、右には市政会館日比谷公会堂が見えます。千代田線A線の電車は私の足元から奥に向かって半径163mで曲がりながら走っています。

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写真6 内幸町交差点の交番

 日比谷公園を国会通越しに見たのが写真6ですが、正面に見える交番のすぐ裏を千代田線A線の電車は走っています。国会通は日比谷通と同じく中央分離帯がある道路ですが、千代田線は半径163m右曲線で中央分離帯より南側までもぐり込んでから直線になります。

 しかし、20m級10両編成の電車が日比谷公園にこの程度食い込むだけで内幸町交差点を曲がれてしまうというのも何となく不思議な感じがします。それだけ日比谷通と国会通の幅が広いということのようです。

【参考資料】
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道千代田線建設史」帝都高速度交通営団(昭和58年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)