神田川南側 ビル下を突っ切る丸ノ内線

 今回は、神田川の南側で丸ノ内線がどのようにビルの下を走っているかという内容です。

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写真1 御茶ノ水橋梁

 御茶ノ水駅を出た丸ノ内線A線の電車は半径180m右曲線で外堀通の脇から飛び出し、御茶ノ水橋梁で神田川を渡るとJR中央線御茶ノ水駅の下にもぐり込みます(写真1)。この先に関しても参考資料1のP.66先「図41 御茶ノ水・西銀座間線路平面図及び縦断面図」、参考資料2のP.54~55「丸ノ内線御茶ノ水-東京間線路図」にその経路が記されています。すなわちJR中央線御茶ノ水駅の線路をくぐり終わったあたりから半径300m右曲線になり、さらにその先60~70mの直線をはさんだのちに半径200m右曲線になって外堀通の下にもぐり込み、淡路町駅に至っています。

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写真2 概略地図

 概略地図(写真2)に示した通り、丸ノ内線神田川を渡ってJR中央線御茶ノ水駅をくぐったあと、ソラシティのオフィス棟、東お茶の水ビル、お茶の水ホテルジュラクワテラスなどを通ってから外堀通にもぐり込んでいますが、「東お茶の水ビルの下をどのように突き抜けているのか」「お茶の水ホテルジュラクの下を通っているのか否か」などが今ひとつはっきりしませんでした。ところがある日偶然参考資料3を見つけ、これにより一気に丸ノ内線の経路(写真2)が明確になりました。

1.御茶ノ水ソラシティ

 御茶ノ水ソラシティはJRの御茶ノ水駅南側にある再開発地区です。以前記載した記事の通り、オフィス棟北東角の真下を丸ノ内線が斜めに突っ切っています。

2.東お茶の水ビル

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写真3 東お茶の水ビル

 東お茶の水ビルは、御茶ノ水ソラシティオフィス棟の東側にある建物です(写真3)。参考資料3に「東お茶の水ビル」という単語は全く出てきませんが、同資料中の「図-1 敷地周辺の状況資料」に記載された丸ノ内線JR中央線の位置関係と方角、「図-8 地下鉄固体伝搬音対策計画図」に記載された建物基礎の大きさ、方角などから推定すると、東お茶の水ビルに関するものと考えて間違いなさそうです。各種不動産会社HPで調べた竣工年(1993年)も、参考資料3記載内容と一致します。
 写真3を見ても丸ノ内線がどこを走っているのか全くわかりません。しかし、丸ノ内線A線はこの写真3右端を手前から奥に向かって、すなわちお茶の水ビル南側の真下を斜めに突っ切っています(写真2)。

3.お茶の水ホテルジュラク

 今までお茶の水ホテルジュラクの下を丸ノ内線が走っているのか否かはっきりしていませんでした。しかし、東お茶の水ビルの下を突っ切っていることがはっきりしたため、お茶の水ホテルジュラクの下に丸ノ内線トンネルはないということがわかりました。

4.ワテラス

 ワテラス神田淡路町二丁目の再開発地区ですが、以前記載した記事の通り丸ノ内線ワテラス敷地中央を斜めに走っています。丸ノ内線の左右にタワー棟とアネックス棟が建っていますが、建物自体は丸ノ内線トンネルと干渉していません。


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写真4 松山堂の蔵

 余談ですが、東お茶の水ビルと御茶ノ水ソラシティオフィス棟の間には蔵があります(写真4)。これは神田淡路町二丁目(ワテラスのある場所)にあった松山堂(書籍商)の蔵の部を材再利用して復元したものだそうです。丸ノ内線A線は、私の真下を右手前から左奥に向かって走っています。

 

【参考資料】
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道丸ノ内線建設史(下巻)」帝都高速度交通営団(昭和35年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)
 3.縄岡好人ほか「地下鉄振動の伝搬性状に関する研究(その4)」大林組技術所報No.49(1994年)