地下鉄建設費用を一万円札敷き詰め状態に例えると…

 地下鉄はその名の通り地下にトンネルを掘って線路を敷くことを基本としているため、地上に線路を敷くよりも費用が掛かります。それでは建設費用は具体的にどの程度なのかという話ですが、日本地下鉄協会が公開している資料を参照すると、近年の東京の地下鉄(メトロ、都営)の場合、路線長1km当たり300億円弱とのことです。しかし300億円と言われてもよくわかりません。以前「1億円 1メートル」という記事を書きましたが、路線1㎞ごとに高さ300mの一万円札の束…ではやはり直感的にわかりません。

 そこで「地下鉄建設費用を一万円札にしてその建設用地にすきまなく敷き詰めたとしたら、何重に重ねることになるか」ということを考えてみたいと思います。

 一万円札の大きさは76mm×160mmですから、これをm単位で面積を算出して10,000円という金額を割ると、1m2当たりの金額が出ます。

   10,000円÷(0.076m×0.160m)=822,368円/m2   (式1)

 式1より「一万円札敷き詰め状態」は1m2当たり82万円です。それでは次に、地下鉄の用地に一万円札をすきまなく一重に敷き詰めると金額がどうなるか計算してみます。複線シールドトンネル経は約10m、駅の幅は20~40m程度ですから、路線全体の平均幅をごく大ざっぱに15m幅とみなすと、用地長さ1mに敷き詰めることができる金額は下記の通りとなります。

   82万円/m2×15m×1m=1,230万円/m   (式2) 

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写真1 一万円札を敷き詰めた状態

 式2より「地下鉄用地に一万円札を敷き詰めると、長さ1m当たり1,230万円」になるということです。長さ1km当たりに換算するには1,000倍すればよいわけですから、123億円/kmとなります。「地下鉄用地に一万円札を一重に敷き詰めると路線長1kmで123億円になる!」ということです。これだけでもすごい金額だと思いますが、地下鉄の建設費用は冒頭の通り300億円弱/kmですから、「地下鉄の建設費用は、その用地に一万円札を二重に敷き詰めた状態(246億円/km)にほぼ等しい」ということになります。天井と床に一万円札を敷き詰めた状態と考えてもよいかもしれません。

 地下鉄に乗った時は写真のごとく「天井と床、それぞれ一万円札を敷き詰めてあるのと同等の建設費用が掛かっているんだ…」と思ってください。