丸ノ内線はどこを走っているか 大塚公園付近

丸ノ内線池袋駅から銀座駅新宿駅を経由して荻窪駅方南町駅に至る路線です。比較的古い路線なので「開削工法で道路の下ばかり走っているんだろう」と思ったら大間違いで、意外と道路以外の地下を走っています。

今回から、この丸ノ内線の「道路真下以外の区間」に関して記事を書いていきます。「街を歩いていてよく見える地下鉄」(地上区間が多い)として有名な丸ノ内線ですが、地上区間に関してはあまりにも経路が明確なので記述しません。

なお、丸ノ内線に関してはすでに下記記事を掲載してありますので、こちらもご参照ください。


1.文献確認

建設史(下巻)P.18先に図11池袋・御茶ノ水間線路平面図及び縦断面図が、参考文献2のP.38~39に池袋-御茶ノ水間線路平面圖及縦断面圖が、それぞれ掲載されています。これが経路特定の基本資料となります。

今回は大塚公園付近の「道路真下以外の区間」です。新大塚駅を出た丸ノ内線A線の電車は一直線に走ります。都立大塚病院の前を過ぎると大塚公園に入りますが、このあたりから半径600m右曲線で進路を変えながら大塚公園とその南の住宅地を通り抜けます。曲線が終わるあたりで大塚四丁目交差点に至り、そこからは道路の下にもぐり込み、茗荷谷駅に向かいます。

なお経路とは関係ありませんが、これらの資料には当時の工法、作業状況が記載されており、時代を感じさせます。各種の板、桁、梁などには木材が多用されていますし、作業も人力が主となっています。それでも生コンを使用(従来は現場混合)するなど、従来より品質向上を図っていることが伺えます。

ここしばらく、半蔵門線有楽町線など、シールド工法を多用した線区(比較的新しい線区)に関して調査していたため、技術の対比が興味深く感じられました。


2.現地の状況

経路が特定できたところで、現地の状況を確認しました。

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写真1 新大塚駅から大塚公園へ至る道

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写真2 大塚公園東口近くの換気口

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写真3 大塚公園南側の住宅地

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写真4 大塚公園南側の住宅地

新大塚駅を出た丸ノ内線A線の電車はまっすぐ大塚公園に向かいます(写真1参照)。大塚公園の東口近くには換気口があります(写真2の赤↓印参照)。写真を撮影している私は丸ノ内線の真上に立っているわけです。

大塚公園を突き抜けた丸ノ内線は住宅地(写真3参照)に入ります。写真3の樹木は大塚公園です。写真4はさらに南に進んだところです。丸ノ内線A線は手前から奥に向かって走っていますが、そのことを示す物的証拠は見つかりませんでした。

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写真5 丸ノ内線の真上の空地

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写真6 大塚四丁目交差点

丸ノ内線トンネルは半径600m右曲線を描きながら住宅地内を突き抜けていきます。写真5は丸ノ内線真上の空地です。この空地の右側には階段があり、道が続いていますが、歩いていると地中からごーっという走行音が聞こえてきました。丸ノ内線の換気口があるようです。帰宅してからGoogleマップの航空写真を見ると、住宅に囲まれた換気口が確認できました。

このあたりで丸ノ内線トンネルは直線になり、大塚四丁目交差点のセブンイレブンの真下を突き抜け(写真6参照)、茗荷谷駅方面への道路の下にもぐり込みます。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道丸ノ内線建設史(下巻)」帝都高速度交通営団(昭和35年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)