橋脚の間を縫って地上に顔を出す有楽町線

辰巳駅を出ると次は終点の新木場駅です。辰巳駅を出ると左に曲がるだけなのですが、その曲がり方がYahoo!地図、Googleマップ、市販地図で少しずつ異なっています。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図によると、辰巳駅を出た有楽町線A線の電車は半径323m左曲線でりんかい線(建設当時は京葉線)の南側に出ます。そのあとはぴたりとりんかい線に並行し、半径660m右曲線で進路を若干変えて地上に出ます。半径323m左曲線の終端付近には換気塔No.129があり、辰巳駅からここまで複線シールドトンネルです。

建設史P.706図192辰巳三工区平面図を参照すると、より詳細な経路がわかります。このあたりは京葉線首都高速道路が近接しているため、その間を縫うように有楽町線は走っています。


2.現地の状況

経路が特定できたところで、現地の状況を確認しました。

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写真1 辰巳駅2番出口

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写真2 辰巳駅2番出口からの風景

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写真3 辰巳交差点から見る辰巳駅2番出口

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写真4 辰巳交差点の国道357号線上り車線

辰巳駅2番出口(写真1参照)は辰巳の森緑道公園の中にポンと出現した感じです。私の足元には有楽町線のトンネルがあります。この2番出口から見た風景が写真2ですが、有楽町線は奥に向かって首都高速辰巳ジャンクションの橋脚間を突き抜けています。辰巳ジャンクションの下(辰巳交差点)から辰巳駅2番出口を見ると(写真3参照)、有楽町線トンネル経路上に橋脚が無いことがよくわかります。有楽町線は国道357号線の上り車線(写真4参照)を辰巳交差点付近で左から右奥へ向かって曲がりながら斜めに横切っています。

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写真5 りんかい線との交差部

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写真6 営団地下鉄線路橋(陸側)

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写真7 営団地下鉄線路橋(海側)

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写真8 営団地下鉄線路橋と換気塔No.129

国道357号線上り車線に平行するりんかい線高架橋を見ると、構造が異なっている部位があります(写真5参照)。近づいてよく見ると「営団地下鉄線路橋」という表示板がありました。営団という言葉が懐かしく感じられます。裏側(海側)に回って見ると、大きく梁が突出しています(写真6参照)。まさにこの真下を有楽町線が走っているわけです。新木場駅方向に進んで梁を振り返って見ると、手前に換気塔があります(写真8参照)。換気塔No.129です。

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写真9 換気塔No.129

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写真10 地上開口部

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写真11 地上開口部

換気塔No.129にはずい道内消防用の送水口(写真9参照)があります。有楽町線はこの下を走っているんですね。この先、トンネルの上は駐車場(写真10参照)になっており、写真11のごとく地上に顔を出します。

和光市駅の東側、白子川を渡ってからずっと続いていた有楽町線トンネルは、ここで終わります。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)