半蔵門線はどこを走っているか(その4) 神保町本屋街付近

書籍のネット購入が一般的になったとはいえ、神保町の本屋街は健在です。すずらん通りあたりの雰囲気は、30年以上前とそう大きくは変わっていません。

ところでこのあたり、真下を半蔵門線が走っています。神保町駅までは靖国通りの下を走っていますが、この先は神田警察署の西あたりまで民有地の地下を半径304mの複線シールドトンネル(直径9.8m)で通り抜け、千代田通りの下にもぐり込みます。どこを走っているかは建設史P.493の平面図に明記されており、三光堂、東京堂、栗田ビル、神田中央ビルの下であることがわかります。

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写真1 靖国通り神保町交差点からの風景

建設史P.374の図7には神保町駅の平面図が掲載されています。これによると、半蔵門線は写真1右端に見えるマクドナルドの広告あたりですでに靖国通りから外れて民有地(建物)の下にもぐり込んでいます。

赤←印を付したのは日本文芸社ビルで、建設史に掲載されていた三光堂ビルの隣(奥)です。

 

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写真2 日本文芸社ビル

写真1において日本文芸社ビルに印をつけた理由が、写真2です。靖国通りの一本南側の道路でこの日本文芸社ビルを見ると…赤↓印のように壁面が斜めになっています。不動産情報でこのビルを調べてみると、当たり前ですが間取図の壁面が斜めになっています。ただし、5階以下の間取は長方形です。6階以上が斜めに欠き取られているのは、真下に半蔵門線シールドトンネルがあるため、荷重を制限範囲内に収めるための措置かと思われます。

このビルの斜め形状は、Yahoo!地図、Googleマップの航空写真ではっきり確認することができます。

 

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写真3 神保町須賀ビル

半蔵門線は、この建物の真下を奥から右手前に走っています。8階建てですが、写真2のような部分的階床制限は見られません。おそらく、シールドトンネルを跨ぐように基礎がつくられているのでしょう。

 

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写真4 すずらん通りの店舗

神保町須賀ビル(写真3)東側の店舗です。この真下を半蔵門線は走っています。この店舗で書籍を購入したことがありますが、足元を地下鉄が走っていることなど全く意識していませんでした。

 

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写真5 東京堂

写真4と同一地点で180度反対側を向いて撮影しました。この本屋もひところよく通ったものです。半蔵門線は、まさに私の足元を走っています。

 

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写真6 半蔵門線の真上

この真下を手前から奥に向かって半蔵門線が走っています。右奥にちらりと見える高層ビルは、ジェイシティ東京の神保町三井ビルディングです。

 

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写真7 神保町三井ビルディング

神保町一丁目南部の再開発地域をジェイシティ東京と称しますが、そのいちばん東に神保町三井ビルディングがあります。このビル、上空から見ると壁面が階段状になっていますが、「半蔵門線シールドトンネルの存在」がその理由のひとつなのだろうと思います。建設史と照合すると、ビルの手前(公開空地)の真下を半蔵門線が走っていることがわかります。基礎杭の構造を簡単にするために、半蔵門線のシールドトンネルを避けたのでしょう。

 

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写真8 千代田通り

この写真は、ジェイシティ東京の南東端になります。私の足元を半蔵門線は写真奥(北側)から右手前(南側)に向かって走っています。ちょうどこのあたりで千代田通りの下にもぐり込むことになります。

 

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写真9 千代田通り

このあたりまで来ると、半蔵門線は完全に千代田通りの真下になります。建設史によると、中央から右側(東側)にトンネルが設けられています。赤いクルマの真下あたりが半蔵門線のトンネルということになります。

今回の区間には換気塔すらなく、地下鉄の構造物からトンネル位置の特定はできませんでした。しかし、建設史でトンネル位置を知った上で改めて街を見直すと、上記のようにいろいろとわかるものです。

参考資料
 1.「東京地下鉄道半蔵門線建設史(渋谷~水天宮前)」帝都高速度交通営団(平成11年)