今回は協調運転車両用のジャンパ連結器に関してです。まず前回の写真2と3を再掲載します。
■ 2.協調運転車両の引通し信号
始めに、169系説明書(構造解説書)のような1次資料が入手できていないため推測が多くなってしまうことを申し上げておきます。それでも参考資料1は国鉄設計事務所の方々がお書きになっており、内容的には信用できると思いますので、まず参考資料1記載の引通し信号を列挙し、そこへ線番号を推定で追記してみました。
(1)協調表示灯(全編成を1往復するので2本新設? 91線と92線?)
(2)ユニット表示灯(21~23線を使用?)
(3)事故表示灯(335線を使用?)
(4)力行、前後進、抑速指令(1~5,7,17線を使用?)
(5)ブザー、電話(329線と330線を使用?)
(6)非常ブレーキ指令(216線を使用?)
上記(1)~(6)の中で、協調運転車両だけに存在すると思われるのが91線と92線です。90番代というところが、169系の「9」と共に協調運転車両を思わせます。
それでは写真2および3との対応ですが、協調運転車両用のジャンパ連結器はひとつしかありません。
◆ 2.1 左側中段のオレンジ色「169」KE70(55芯)
169系、189系、489系等の協調運転用車両の制御回路を引通すためのものです。KE70は103系でも使用されているジャンパ連結器です。国鉄車両の場合、ジャンパ連結器内の基本的な線番号配置は系列を問わずほぼ同じになっていますから、仮に169系KE70内の線番号配置が103系とほとんど同じだとした場合、予備線S17~S19線あたりを91線と92線として使っているのではなかろうかと推定します。
他の線番号は標準的にKE70内に割り振られていますので、それをそのままEF63と協調運転用車両との間で接続しているものと思います。
以上の通り推定の域を脱することはないので、169系説明書(構造解説書)を入手できる日がいつか来ることを願うしかなさそうです。
参考資料
1.日本電気機関車特集修正(下)(昭和54年)P.76 真宅正博・渡辺登「信越線横川-軽井沢間の電気機関車と電車の協調運転」
2.電車の機器とツナギ(昭和55年第18版)
3.直流用新形電車教本(昭和59年第11版)
4.Rail Magazine No.161(1997年2月号)