銅板は放置しておくと緑青(ろくしょう)が発生し、その錆により保護されます。またその名の通り青緑色で、独特の美しさがあります。昔は屋根や外壁に使われていましたが、近年建設される建物(いわゆるビルディング)ではほとんど見かけませんでした。
ごくありふれた街風景です。場所は神田駅の近くです。写真中央の建物もこれといった特徴のない(つまらない)意匠です。
ある時、写真1の建物は取り壊されました。しかし新しい建物はなかなか建てられず、しばらく更地のままでした。
そのうち、このようなものが現場に設置されました。
しばらくすると、試作品の設置場所が変更になりました。写真3の時から約半年経過していますが、銅板表面の酸化状態がよくわかります。「これはきっと、屋根か外壁に銅板を用いる建物ができるんだろう。」と楽しみにしていました。
そして数か月後、予想通り見事な銅板の外壁を持った建物が現れました。このあたりはもともと外壁に銅板を用いた建物が多く残っているので、街並みの記憶を再現させるという意味があるのだろうと思います。
100mほど離れたところにある、銅板の外壁を有する建物です。このようにきれいに緑青で覆われるまで、10年程度かかるそうです。
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外壁に銅板を使うと値段がかなり高くなりますが、定期的な塗装を必要としないため、ライフサイクルコストという点ではかえって安いとも言えそうです。また、何よりも緑青の味わい深さを楽しむことができます。目先の経済性だけでなく、長期的な、そして街並み全体を考慮した工法が採用されるようになってきたことをうれしく思います。