手帳を作成してアマゾンで発売してみたというお話

1.動機

 近頃はスマホで日程管理をする人が大半のような気がします。それでも手帳で日程管理する人は相変わらず多いようで、本屋や文房具屋では様々な手帳が売られています。私も手帳派で、「罫線に関係なく好きなように書ける」「記念スタンプなどを押せる」「シャープペンシルで記した後に消しても跡が残る(日程変更の履歴を感じることができる)」など、たいへんアナログ的な理由によります。

 私は今までパイロットや能率能率協会の手帳を使ってきました。しかしどちらも今ひとつ希望に合致せず、余計なページもたくさんありました。なんとかならないかなぁ…と考え、「そうだ、今ならアマゾンのペーパーバックで作れるではないか!」と思い、実行してみた次第です。一応アマゾンでどなたでも購入可能ですが、あくまでも私個人にとって使いやすい手帳ですから、売れることはまずないでしょう。

2.アマゾンペーパーバックで作成

 アマゾンペーパーバックはPDFデータで入稿することになっています。ではどうやって中身を作るか…。記録ページに関して日付と曜日は必須ですが、それを人力で1年分入力するなど、考えただけでイヤになります。エクセルの関数使わないとやってられません。その一方で、エクセルで細かい罫線や時間軸を表現するのは困難です。やはり、パワーポイントで紙面データを作成してPDFに変換する…という方法を基本にしないとうまくいきそうにありません。

3.中身

図1 記録ページ(見開き)

図2 簡易出納帳(見開き)

図3 メモ(見開き)

図4 記録ページのエクセルデータ

 結果から先に示しますが、上図1~4のようにしました。まず記録ページ(図1)は、日付と曜日と祝日に関してエクセルデータ(図4)を作成し、それをパワーポイントの紙面にリンク貼付けしました。エクセルデータの日付はB2セルに対して1ずつ足すようにしてありますので、毎年このB2セルだけを修正すれば1年分の日付と曜日が一斉に変わります。罫線や時間軸はパワーポイントで作成してあります。

 簡易出納帳(図2)とメモ(図3)に関しては日付データがないので、単純にパワーポイントで作成しただけです。

4.表紙

 薄くしたため、アマゾンペーパーバックの仕様上「この厚さ(薄さ)では背に書名の文字を入れることはできません」ということになりました。しかし「背に年の数字を入れる」ということが、パイロットや能率能率協会の手帳を使用していて何とかしたかった項目のひとつです。

 悩みながらアマゾンの仕様をよく読むと、「模様」なら構わないとなっています。それならば…ということで表紙→背→裏表紙に「2023という数字を用いた模様」を入れました。数字の色はカラーコードです。電子部品を扱ったことのある方ならわかると思いますが、「黒:1 赤:2 橙:3 黄:4 …」です。最初は2023の3だけを橙にしようと思い、202と3を別要素にして重ねました。こうしておけば、来年は3という数字を4にして色を黄に変えればOKと思ったのです。ところが202は「3文字+空白1文字分」、3は「1文字+空白3文字分」なので、文字幅と空白の幅が一致していないためずれてしまいます。えい、めんどうだ…ということで、20と23すなわち「2文字+空白2文字分」にしてずれをなくしたのです。

5.完成品

 アマゾンで販売する手続きをして数日経つと発売されます。その後自ら購入しました。自宅に届いた完成品が図5~9です。

図5 表紙

図6 裏表紙

 表紙と裏表紙(図5~6)は思った通りです。裏表紙のバーコードがじゃまですが、こういう仕様なのでどうしようもありません。

図7 記録ページ

 記録ページ(図7)も思った通りです。紙の色は薄いクリームを指定して正解でした。

図8 奥付

図9 奥付以降

 奥付(図8)とそれ以降(図9:原稿にないが自動的に付与)は「白紙」として使うように考えました。スタンプなどを押すのにちょうどよいかなと思ったのです。最後のページにバーコードが入っていますが、これも仕方ありません。

6.問題点

 とりあえず2023年版を作成して使いながら問題点を抽出し、2024年版に反映しようと思っていますが、現時点すでに下記のような問題点があります。

6.1 のどを完全に開けることができない

 これはアマゾンペーパーバックの仕様上どうしようもありません。耐久性も未知数です。そのうちページがバラバラにならないだろうかという心配もあります。糸綴じにしたいところですが…

6.2 やはり幅が広い

 判型はアマゾンペーパーバック規格のひとつである新書(高173mm×幅105mm)です。高さはよいのですが、実際に持ってみると幅は10mmほど減らしたい感じです。本(読むもの)と手帳(記入するもの)ではやはり適切な幅は変わるようです。実を申すと検討段階からちょっと幅が広いと感じていて、「完成品が届いたら、小口側の余白を裁断すればいいかな…」と甘く考えていたのです。完成品を見て「5mmの厚さをゆがみなく手作業で裁断するのは無理だ…」と認識させられました。

 判型を規格外にできるか、ページ余白をどうするか、など再検討が必要です。

 6.3 表紙の角から傷みそう

 手帳はカバンに突っ込んだりするものですから、表紙は結構しっかり作られているもので、ビニールや革のカバー付が一般的です。それに対してペーパーバックでは真っ先に表紙の角がダメになりそうです。角をカッタで丸く削るか、新書用のカバーをつけるか…などと考えています。

6.4 意外と高い

 販売ページの価格を見て「5mmの厚さにしては結構高いな」と感じるかもしれません。しかし、印刷代と送料だけでこの値段になるのです。ちなみにアマゾンの送料は無料じゃありません。商品の価格に含まれているだけの話です。

 市販の手帳はおそらく何万~何10万冊と刷って、本屋や文房具店にいっぺんに何100冊と運んでくるのではないかと思います。それに対してアマゾンペーパーバックはオンデマンド印刷です。1冊ずつ注文→印刷→梱包→配達…という手間がかかります。どうしても高くなってしまうのです。

◇   ◇   ◇
 

 そもそもここまで手間とお金をかけて手帳を自作する必要があるのか…という意見もあるかと思いますが、DIYということですね。

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さかてつでした…