社会に出て1年半ほど経った頃、特許実習と称するものを受講しました。特許とはどんなものか、その基礎を学んだわけです。まず初めに特許法に関する講義があったのですが、その際「発明」が次のように定義されていることを知りました。
(特許法第二条) この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
はい、「自然法則を利用した」です。私はこの表現に感動しました。「自然を征服する」でもなければ「自然と対峙する」でもなければ「自然と別世界の」でもありません。「自然法則を利用した」です。それまで私の中で技術というものは下記のような感覚で受け止めていたものですから、この定義を知って結構驚いたのです。
自然:森林、空気、海とか、雨が降る、風が吹く…など
技術:高層ビル、飛行機、通信システム…など
(自然現象・法則とは別の世界…と感じていた)
しかし改めて考えてみると当たり前です。どんなものでもひとつひとつ自然の物理法則に従います。技術(ぎじゅつ)は奇術(きじゅつ)ではありません。つまり、下記のようになります。
(1)自然現象・法則をうまく利用したものが技術
→技術は自然現象の一部に過ぎない
(要するに「自然現象 ⊃ 技術」)
(2)したがって、物は物理法則(自然現象・法則)通りにふるまう
(3)もちろん、限界を超えれば壊れて事故・被害が発生する
(4)事故を防ぐためには技術の限界を知る必要がある
→物理法則(自然現象・法則)を十分に理解することが必要
先輩によく言われたものです。「物っていうのはなぁ…できている通りに動くんだ。お前が願っている通りに動くわけじゃない…。」
以上
さかてつでした…