文京区と台東区の境目(期間限定)

 世の中には「期間限定」と称するものがたくさんありますが、境目にも期間限定版があります。

f:id:me38a:20220213134555j:plain

写真1 旧岩崎邸(休館以前に撮影)

f:id:me38a:20220213134613j:plain

写真2 切通坂に面した正門

 写真1は台東区にある旧岩崎邸です。この西側には国立近現代建築資料館があります。旧岩崎邸の庭園側から入るようになっていたのですが、旧岩崎邸が諸事情により休館しているため、切通坂(湯島天神の北)に面した「湯島地方合同庁舎正門」(写真2)から入るように変更されています。

 実はこの状態、「期間限定サービス」です。この敷地内にある文京区と台東区の境目を確認できるからです。

f:id:me38a:20220213134640j:plain

写真3 参道

 正門から庁舎(建築資料館の南側)に向かう通路(写真3)はまさに参道という感じです。もちろん神社ではありませんので、正式に「参道」と称しているわけではありません。

 

f:id:me38a:20220213134658j:plain

写真4 参道西側の区境

 写真4は、参道を歩きながら西側を見た状態です。急に用地が広くなりますが、実はこのコンクリート塀、区境なのです。私の左半身は文京区、右半身は台東区です。奥に続く塀が区境で、直角に曲がった塀も区境です。塀の外側は私の左半身と同じく文京区、塀の内側は台東区です。

 

f:id:me38a:20220213134713j:plain

写真5 参道西側の区境

 写真5は、写真4の直角に曲がった区境に若干接近して撮影したものです。塀の上には有刺鉄線が張られています。文京区と台東区を行き来することは禁じられているようです。塀の外側は文京区ですが、集合住宅に住んでいる方は眼下に台東区を見ながらも立入ることはできません。緊張感漂う風景です。

f:id:me38a:20220213134728j:plain

写真6 参道東側の区境

 参道の東側はどうなっているでしょうか。写真6にその状態を示します。私の左半身は台東区、右半身は文京区にあるはずですが、東側は塀と区境が一致していません。私の正面に白い建物がありますが、区境はその建物を斜めに突き進んでいます。区境の「赤い二点鎖線」が建物の壁面に記されているとわかりやすいのですが…。

f:id:me38a:20220213134746j:plain

写真7 振り返って見た図

 写真7は、敷地内から参道側を振り返って見たところです。右側(西側)に区境のコンクリート塀が見えます。左側(東側)は上記の通り、区境がよくわかりません。

f:id:me38a:20220213134800j:plain

写真8 区境

 写真8は、写真7と同じ場所で少し右側(西側)を見たところです。写真5に示した「直角に曲がる区境」の状況がよくわかります。私が立っているところは台東区です。この区境、写真右端で塀から離れ、まっすぐ北上してきます。この後3~4m歩くと、何の問題もなく台東区から文京区に入れたのです。

 塀と有刺鉄線に護られていたり、逆に何の仕切りもなかったり…ヨーロッパにおける国境と何も変わりません。

f:id:me38a:20220213134820j:plain

写真9 建築資料館前の区境

 写真9は、建築資料館の敷地(文京区)から撮影した旧岩崎邸(台東区)です。ここにはちゃんと金網が設置されて往来が禁止されています。何の表示もありませんが、ひょっとすると高圧電流が流れているのかもしれません。要注意です。

 

f:id:me38a:20191022200051j:plain以上
さかいさかιゝ さかτゝ
さかτ さかてつでした…