擁壁でよく見かける排水管に関するお話です。
写真1は斜めから見た排水管です。この擁壁の上ある家屋から雨水などを側溝に排水するためのものです。
写真2は正面から見た状態です。擁壁に開いた穴にエルボ(流路方向を90度変える管)が2つ取付けられています。擁壁の穴から流出した排水はいったん左に曲がり、次に下に向かいます。
写真3は側溝の上の状態です。モルタルに埋もれていますが、ここにはエルボが3つもあります。下に向かって流れ落ちてきた排水はいったん水平方向に向きを変え、そのあと右奥に向かって曲がり、さらにそこで下に向かって向きを変えます。擁壁を出てから側溝に至るまで、合計5個もエルボが使われているわけですね。
なんでこんなに凝った構造になっているのでしょうか。写真4のようにすればエルボは1つで足りるはずです。
しかしよく考えてみると、写真4の構造では騒音が発生することに気づきました。図5は写真4の赤い排水管を横から見た状態です。擁壁内部から流れてきた排水は、慣性のため管壁から剥離して向かい側の管壁にぶつかり、今度は鉛直方向に落下するため再度剥離し、再び管壁に排水がぶつかります。このような状態では排水管が振動してゴボゴボと結構大きな騒音が発生することでしょう。排水量が増えるほど顕著になることが考えられます。
これに対し写真6のように擁壁から出たところをエルボでひねると、排水は天から見て時計方向に旋回しながら落下していくことになります。この場合、流れは管壁から剥離しません。したがって図5に比べると騒音はかなり減るものと考えられます。排水量が増えると慣性により流れはますます剥離しにくくなることでしょう。
以上は物を見て「たぶんこうだろう」と推定したものです。大量の排水がある時にどのような状態になるか、騒音を聞いてみたくなりました。
ただしわからないのが、写真3の「3つのエルボ」です。側溝が擁壁から少し離れているにしても、2つのエルボでクランク曲げすれば十分ではないでしょうか。わざわざ平面内にエルボを設けた理由は何なのでしょうか。また、管が踊らないようにしっかり留めるためなのかもしれませんが、モルタルでがちがちに固めてあるのも趣味的にはおもしろいと感じます。
以上
さかいめ さかιゝ さかτゝの
さかτっ さかてつでした…