ヴアキユアム

1.はじめに

 日本語標記において、外来語はカタカナで記されます。しかし、100年ほど前に記された本の外来語が何を意味するか理解するのはなかなか大変です。

2.事例

 現在、真空ブレーキに関して100年ほど前に出版された本を解読中です。もちろん日本語で記されているのですが、外来語のカタカナ表記が現代と異なるため、なかなか難解です。

 

●ヴアキユアム

 これはすぐわかりました。英語のvacuum(真空)です。現代であればバキュームと記すところです。バキュームではなくヴアキユアムと発音してみると、何とも言えない味わいがありますね。ヴァキュアムではなく、アもユも大きなヴアキユアムです。

 

●ヱイヤノッズル

 エイヤ!という掛け声みたいですね。ただしエイヤではなくヱイヤです。これは後半のノッズルnozzle(ノズル、筒先)という言葉から、ヱイヤは流体ということが推定できます。そうです、ヱイヤはair(空気)です。つまりair nozzle(空気ノズル)ということです。現代ならエアノズルと記すところですね。

 

●リーヴアー

 これは一瞬悩みました。leave areでは意味不明です。答はlever(てこ)です。現代ならレバーと記すところですが、リーヴアーと発音すると妙に間延びしており、笑ってしまいそうです。

 

●チエツキヴアルヴ

 知恵尽き…? 確かにこれぐらいになるとむずかしくて知恵が尽きます。しかしここは知恵付きにしなくてはなりません。ヴアルヴはヴァルヴすなわちvalve(弁)ということでしょうから、構造図から推定するとcheck valve(逆止め弁)となります。現代ならチェックバルブです。

 

●リユーブリケートル

 これはかなり悩みました。リユーブリ・ゲートル? リユーズド・ゲートル(再利用の脚絆)?などと思いましたが、どう考えても変です。そもそもゲートルではなくケートルです。ケートルはkettle(やかん)? やはり変です。

 しばらく頭の中を「リユーブリケートル」がぐるぐる回っていましたが、本を読み進めていくうちに「リユーブリケーチングコックより数滴の油を注す」という表現を見つけ、疑問は解けました。

 リユーブリケートルはlubricator(潤滑装置)でした! 現代の書き方ならルブリケータですね。

3.まとめ

 日本語と言えども100年前のカタカナの書き方は難解です。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…