1.はじめに
市川市文化会館の入り口前には巨大な地下空間があると言います。どこにどのような空間があるのでしょうか？
2.市川市文化会館
市川市文化会館に関して、下記のようなことが文献に記されています。
(1)都営新宿線建設予定地脇に市川市文化会館が建設されることになった。
(2)当初の計画ではトンネルと文化会館の基礎杭は1mしか離れていなかった。
(3)音楽演奏中、ホールに地下鉄の振動が伝わってこないよう要求があった。
(4)市川市と調整し、ホール基礎杭をできるだけ建物内側に入れてもらった。
(5)さらに大ホールの位置をトンネルから最も離れた場所にしてもらった。
(6)新宿線軌道砕石の下に防振マットを敷いた。
市川市文化会館のフロアマップを参照すると、確かに大ホールは建物の西側に寄っています。文化会館の入口前に地下鉄という巨大な地下構造物を建設するため、いろいろ工夫された様子が伝わって来ます。
3.文化会館付近の新宿線経路
写真1は、1984年10月に撮影された空中写真です。篠崎駅-本八幡駅間開業は1989年3月なので、その4年半前になります。大和田換気所と文化会館がいずれも建設中です。写真には写っていませんが、地下には新宿線トンネルが掘削されています。
写真2は、最近の状況です。さらに、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」およびYouTube東京都交通局公式チャンネル動画から推定した新宿線経路を写真2に追記してあります。白い「○数字」は基礎が新宿線トンネルと干渉していないと思われる建物、黄色い「○数字」は新宿線トンネルの上に建っていると思われる建物を示します。
市川市文化会館は申すまでもなく新宿線トンネルの上にはなく、建物の平面形状も新宿線トンネルを避けた形になっています。
4.地上風景
写真3は、東京外環自動車道の防音壁です。新宿線トンネルは写真右から左に向かって走っています。建物⑦および建物⑧は新宿線トンネルの脇にあると推定されます。
写真4は、写真3に写っている歩道橋の上から本八幡方面を撮影したものです。新宿線は写真左手前から建物⑩の下を突き抜け、市川市文化会館の右側をかすめるように走っています。建物⑦～⑨は新宿線トンネルにはかかっていないものと思われます。
写真5も新宿線の真上と思われる場所です。建物⑪はかろうじて新宿線トンネルにかかっていないようですが、そのわずか手前、つまり私の目の前を左から右に向かって新宿線が突っ切っています。
写真6は市川市文化会館の入口前です。写真右側に見える建物が文化会館です。新宿線は建物⑫の下を突っ切って私の足元に向かって走って来ます。
写真7は、道路側から見た市川市文化会館です。写真左側が入口で、新宿線は写真左から右に向かって走っています。
文化会館の建物がトンネルの上にかからないようにするため、写真左側(入口)付近は道路から引っ込んでいることがわかります。建物の縁と新宿線トンネルはいちばん近い所で1m程度しか離れていません。
写真8も市川市文化会館の入口前です。奥が本八幡方面になります。私の足元を新宿線の電車が走っています。
写真9は、市川市文化会館の北方です。新宿線トンネルはこのあたりで道路の下にもぐり込みます。
船堀駅の東側で地下にもぐってからここに至るまで、都営地下鉄新宿線はずっと道路以外の場所(民有地)の地下を走ってきましたが、ここで再び道路の下に戻ります。この間、新宿線がどこを走っているのか推定するのはなかなか大変でした。
5.まとめ
市川市文化会館の入口前には都営地下鉄新宿線のトンネルがあります。いちばん近い所では1mしか離れていません。地下鉄の振動がホールに伝わらないようにするため、各種の対策が実施されました。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。
