1.はじめに
都営地下鉄新宿線は、江戸川から先、千葉県を走ります。ここに千葉県を守る「扉」を設ける予定があったそうです。いったいどのような扉だったのでしょうか。
2.大和田換気所・ポンプ所と防水扉
千葉県に入って少し行ったところには大和田換気所があります。東京都側から単線シールド並列で走ってきた新宿線は、この大和田換気所で複線シールドトンネル1本になります。
実はここに防水扉を設置する予定がありました。
江戸川をくぐる新宿線のトンネルは河底部付近が低くなっており、そのトンネル内排水のため大和田換気所にはポンプ所が併設されました。さらに、「もしもトンネル内に水が入った場合、東京都の地下鉄が千葉県側に被害を与える可能性がある」ということで、当時の建設省から防水扉を設置するよう行政指導が入ったそうです。
結果として防水扉設置の計画は取りやめになっていますが、他の自治体に施設を建設するとこのような話が出るという事例です。
3.地上風景
大和田換気所の上は現在公園になっています。ただし巨大な換気塔の存在感が大きく、公園というよりは「換気所の地上の一部に立入り可能になっている」という感じです。
換気塔の側壁には壁画があります。「換気所の壁面を大和田にふさわしい壁画で飾り、地域の新しい名所にする…」と現地の案内板に記されていますが、はたしてその通りになっているのかどうか、よくわかりません。
公園には写真5のようなものがあります。太鼓橋のように見えますが、シールド工法とは?という記事に書いた通り、シールドトンネルに使われているセグメントです。
換気塔と道路の間には、都電7000形が静態保存されています(写真6)。なぜ千葉県に東京都の電車が?と感じますが、この大和田換気所は東京都の施設であることを思い出せば納得できます。
ところで本来ならば写真7のように70**という車番が入っていたはずですが、この静態保存車両には車番がありません。調べてみると、7011だったようです。
写真8は、大和田換気所の北東付近です。建物⑤は新宿線トンネルの真上になりますが、建物⑥は新宿線トンネルの脇になります。新宿線トンネルは、建物⑤から私の足元に向かってまっすぐ走って来ます。
写真9および写真10は、新宿線トンネルの真上です。ブロック塀の内側の空地(写真9)を斜めに突っ切り、駐車場手前の道路(写真10)を斜めに横切って東京外環自動車道の下をくぐっています。
4.まとめ
都営新宿線トンネル内に水が入った場合に千葉県側を守るため、大和田換気所の地下に防水扉を設置する予定がありました。結果として防水扉設置の計画は取りやめになっています。
大和田換気所には都電が保存されています。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。