1.はじめに
「東京メトロ東西線のトンネルはどこにあるか」を連載しています。落合駅付近は早稲田通の真下を走っている東西線ですが、小滝橋交差点は経由せず、ほぼまっすぐ東に進んで高田馬場駅方面に向かっています。
今回は上記区間の経路概要と、上落合一丁目交差点東側付近の現地状況に関して記載します。
2.上落合一丁目交差点から戸塚公園入口交差点までの経路
東西線の中野駅から高田馬場駅までは1966年(昭和41年)3月に開業しています。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」に収録されている1965年8月撮影の写真(写真1)を参照すると、開削工法で建設したトンネル直上にはまだ建物がほとんどなく、東西線の経路がたいへんよくわかります。
建設史には「小滝橋付近で山手製氷を買収した」旨記載されていますが、これは写真1中の「東西線↓」の↓印先端部付近です。現在ここには、東京メトロの施設があります。しかし、開業から半世紀以上経過した現在、空中写真(写真2)を参照してもどこに東西線のトンネルがあるのかわかりません。
それでも建設史、空中写真、現地状況を突き合わせて考察することにより、東西線トンネルの位置が浮かび上がってきます。写真2中の青い点線にそれを示します。
今回から数回に分けて、写真3の範囲に関して記述します。なお①～⑫は建物を、No.22とNo.23は換気口を示します。
3.東西線は建物①の下を走っているか？
早稲田通の上落合一丁目交差点から東方を望むと(写真4および写真5)、建物①と建物⑤が見えます。東西線A線は写真手前から奥に向かって走っています。早稲田通はこの先右に曲がって小滝橋交差点方面に向かい、東西線は早稲田通から反れて民有地の下にもぐり込んでいます。
建物⑤は背が高く、東西線の走る方向と並行しているため、東西線トンネルの位置から外れているであろうことはすぐわかりました。一方、なかなかわからなかったのが建物①です。写真4および写真5を見ると東西線は建物①の右側(南側)の地下を走っているように思えたのです。
早稲田通を東に進むと、建物①の前に換気口No.22がありました(写真6および写真7)。素直に解釈すると、この地点において東西線はまだ早稲田通の真下を走っているようです。しかし写真4より、この地点ですでに東西線トンネルが建物①の下にもぐり込み始めている(No.22換気口の左側にトンネルがある)可能性もありそうです。
建物①は8階床ですから、トンネルの上に建てるとなるとそれ相応に工夫が必要になるはずです。基礎構造がどうなっているかいろいろ頭に思い描きながら建物①の周囲を観察しながら歩きました。しかし、今までの経験からトンネルの上に建っているわけではなさそうに感じられました。
「感じられました」では話にならないので、帰宅してから建設史、空中写真、現地状況写真等々を再確認しました。その結果が、前述した写真3中の青い点線です。東西線は上落合一丁目交差点を過ぎてから半径500m右曲線で早稲田通の下を進み、建物①の前から直線になって民有地の下にもぐり込み始めています。つまり、東西線トンネルは建物①の下にはないのです。
改めて建物①とその周辺(写真8)をよく見ると、右奥(東)に向かうにしたがって建物が低く(5階床以下)なっています。東西線は、このあたりから民有地に食い込み始めているわけです。建物②(写真8)あたりまで進むと、東西線トンネルの半分以上が建物の真下に位置することになります。
写真9には壁面がローズピンクの建物が写っていますが、よく見ると壁面がオーバーハングしています。おそらく東西線トンネルとの干渉を避けるためであろうと思われます。
4.まとめ
東西線は建物①の下を走っていません。その先、建物②あたりからどんどん建物の下にもぐり込んでいると判断されます。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】
写真1～3は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データ(KT657Y-C3-14、CKT20176-C21-18)を私が編集・加工したものです。
