丸ノ内線終点の荻窪駅近くに、天沼陸橋交差点付近と同様の「ひょっとすると民有地にトンネルが食い込んでいるかもしれない」という場所があります。
天沼陸橋交差点から青梅街道旧道を走ってきた丸ノ内線は、終点の荻窪駅に入る手前でJR中央線と平行になるよう、半径400m左曲線で徐々に向きを変えます。しかし旧道の道幅は狭くて比較的急に曲がっているため、その分トンネルが民有地に若干食い込んでいるのではないかと思えるのです(写真2黄〇印)。
問題の場所、すなわち青梅街道旧道がJR中央線に近づいてNo.272換気口(写真3)を過ぎたところには、トヨタマビル(写真4)があります。この建物、下半分に壁がなくて宙に浮いたような構造になっていますが、それよりも気になるのがこの建物の柱の位置です。奥(東側)よりも手前(西側)の方が、敷地境界線からの後退度合いが大きくなっているのです。この建物上半分の壁面が敷地境界線とぴったり一致しているに、なぜ柱はこのようになっているのでしょう?
写真5~7をまとめてご覧になると、この付近の状況がお分かりいただけるかと思います。旧道はJR中央線にぶつかるところで一気に曲がっていますが、丸ノ内線のトンネルを半径400mの曲線とするためには、トヨタマビル付近において民有地に食い込ませる必要があったのではないでしょうか。ささま書店が入っているベージュ色の高層住宅の建物が歩道から引っ込んでいるのもそのためではないかと思われます。
確証はありませんが、丸ノ内線のトンネルはこの付近で民有地に食い込んでいるようです。
【参考資料】
1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道荻窪線建設史」帝都高速度交通営団(昭和42年)
P.18先「別図 荻窪線線路平面図および縦断面図」
P.140先「図2 新宿・荻窪間平面図および縦断面図」
2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)
【注記】
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」でダウンロード可能な空中写真は、出典の明示を行なえば利用可能(申請不要)です。編集・加工等をした場合はその旨記載が必要です。写真1~2は国土地理院写真データ(MKT636-C7-7、CKT20092-C71-13)を基に私が編集・加工したものです。