保存車両をどこまで復元するか

 現在、真空ブレーキに関していろいろ調べているところです。以前ご紹介した下記書物にその基本構成が掲載されています。

真空制動機 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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図6 真空ブレーキの一般的構成

 図6は、上記の国立国会図書館ウェブサイトから引用し、私が編集・加工したものです。(著作権保護期間は満了しています。)

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写真1 230形蒸気機関車

 京都鉄道博物館に230形蒸気機関車233が保存展示されています。この車両は1903年(明治36年)製ですが、1959年(昭和34年)まで入換用として使用されていました。1959年であれば、連結装置は自動連結器、ブレーキは自動空気ブレーキに改造されていたことになります。その後、復元されて現在に至っているわけです。

 それではどのように復元されているかということですが、写真1の通り連結装置は当初のねじ式に復元されています。また、車端のホースも真空ブレーキ用に復元されています。この調子ならば真空ブレーキ用の排出器(イジェクタ)やシリンダも復元されているのだろうと期待しながら観察したのですが、それらしいものは見つかりません。

 よく見ると、前端ホースと後端ホースの間に列車管こそ引通されていますが、その間に何も接続されていませんでした。T字管がひとつ取付けられていますが、分岐部には何も接続されていないのです。

 せっかく見に行ったのですが、がっかりしてしまいました。すべてを復元するのはむずかしいのだろうとは思いますが…。

 100年以上前の技術を探るのはなかなかたいへんです。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…