丸ノ内線国会議事堂前駅

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写真1 国会議事堂

 国会前庭和式庭園を半径170m左曲線で抜けた丸ノ内線は、道路を横切って国会議事堂(写真1)の敷地に直線でもぐり込んでいきます。その後半径300m右曲線になると、そこは国会議事堂前駅です。国会議事堂前駅を出ても半径300m右曲線は続き、1番出口(写真2)あたりから半径190m右曲線になって、総理官邸前交差点を通過します。
 このあたりの状況は、建設史(参考資料1)P.120先「図77 西銀座・新宿間線路平面図及び縦断面図」およびP.122「図79 国会議事堂前駅」を参照するとよくわかります。

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写真2 総理官邸前交差点と1番出口

 ところで、国会議事堂の敷地内に丸ノ内線換気口はいくつあるのでしょうか。建設史(参考資料1)P.120先「図77 西銀座・新宿間線路平面図及び縦断面図」を参照すると「93~96」の4つの数字が記載されています。現地は建設史に対して番号がひとつずれていることがわかっていますので、現地の換気口はNo.92~95ということになります。直接この目で確認したいところですが、国会議事堂の敷地には入れないのでGoogleマップ(航空写真)で換気口を探してみました。

 No.92:見つけられず(樹木の陰かもしれない)
 No.93:駐車場内にそれらしき画像を確認
 No.94:駐車場内にそれらしき画像を確認
 No.95:見つけられず(1番出口近くのはず)

 No.93換気口とNo.94換気口の位置は、建設史(参考資料1)P.122「図79 国会議事堂前駅」記載の3つの換気口(No.93~95と推定)のうちの2つと一致します。さらに各種地図に記載されている国会議事堂前駅の位置とも一致します。国会議事堂の敷地内には少なくとも2つの換気口があることは間違いなさそうです。残りの2つに関しては、現時点何とも申せません。

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写真3 国会議事堂前駅(池袋寄り)

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写真4 国会議事堂前駅(池袋寄り)

 次に疑問に感じたのが、丸ノ内線国会議事堂前駅の出口が新宿寄りにしかないのは、開業当初からなのだろうかということです。
 現在、池袋寄りは国会議事堂の敷地内ですから出口がなくて当たり前ですが、丸ノ内線開業時は池袋寄りも道路の真下であり、すぐ近くには議員会館がありました。ということになると、開業時は池袋寄りにも出口があったとしてもそんなに不思議ではありません。
 まず、建設史(参考資料1)を参照してみました。しかしP.122「図79 国会議事堂前駅」には、池袋寄りの出口はありません。ひょっとすると現地には建設史に記載されていない何かがあるかもしれないと思い、国会議事堂前駅プラットホームの池袋寄り(写真3および4)からトンネルをのぞいてみました。
 残念なことに、A線とB線いずれにも過去に階段が存在したような痕跡は見つかりませんでした。建設史記載の通り、当初から新宿寄りにしか出口はなかったようです。建設時、すでに国会議事堂周辺の区画整理が予定されていたために池袋寄りに出口を設けなかった、ということなのかもしれません。 

【参考資料】
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道丸ノ内線建設史(下巻)」帝都高速度交通営団(昭和35年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)