



写真1~2は再開発前の渋谷駅南方、桜丘町です。道が曲がりながら分岐して右上に登っていく風景がとても素敵でした。その後再開発され、サクラステージの一部となりました。写真3は工事中、写真4は完成後の姿です。建物が上空に伸びたので、写真を縦長にしないと入らなくなりました。なお、建物は変わりましたが地形はそのまま残っています。




さて、写真5~8はこの建物の階段です。エッシャーの絵のように壁面も階段のようになっており、本物の階段となめらかな曲線で接続されています。さらに段ごとに色が異なっています。そのため、ここを通るたびになんとなく踏外しそうな感覚があります。(歩行者に違和感を与えることが建築した側の目的であれば、成功しています。)

人間の眼は「辺」すなわち「面と面の境目」を形状認識のために大いに役立てていると思います。写真9は普通の階段です。左右の小さな壁面との「境目」はジグザグ(踏み板と蹴込み板それぞれに関して直線的)で、その「辺」の形状より階段であることが明確にわかります。
色に関しても階段自体は単色なので、踏み板と蹴込み板(コンクリート製なので板という表現が適切かどうかはわかりませんが)をはっきりと識別できます。さらに平面通路と階段で仕上げ材とその色が異なるため、階段の範囲も明確です。写真9の階段で踏外す人はまずいないだろうと思います。


さて、渋谷に戻ります。写真10は写真2と同じ坂道です。写真11は5年後ですが、再開発されても坂道自体はそのままであることがわかります。その左側、つまり低い道が存在したところは建物になり、擁壁があったあたりに階段ができました。

写真12は、写真11の階段下部です。「一定の蹴上げ寸法を上部から割振ってきたら端数が出た」という状態です。人間は階段を歩く際「蹴上げ寸法は一定」と無意識に思っていますから、このような状態ではとても歩きにくく、つまづきやすくなります。

写真13も写真11と同じ場所です。坂道からちらりと見ただけでは、「平面通路に異なった色の領域がある」としか認識できないように思います。
改めて写真11と比較するとわかりますが、ここには階段が存在します。さらにごていねいに蹴上げ寸法と踏み面寸法が不均一です。この場所は階段ではなく、坂道と同様の斜面にしてしまう方が正解だったのではないかと思います。
サクラステージの事例は「CADの画面だけ見て設計したのち、CGにより外観確認してOK!」となっているように感じています。階段はもともと事故が発生しやすい場所であり、それなりに現地状況を確認しながら設計施工しないとまずいのではなかろうか…と思った次第です。
以上
さかてつでした…