関東鉄道キハ700

 昔、関東鉄道にキハ700という気動車がいました。関東鉄道といっても関東全域を走っていたわけではなく、茨城県の小さな私鉄です。首都圏から近いということもあり、筑波鉄道鹿島鉄道と共によく出かけたものです。

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写真1 キハ700(1988年撮影)

 キハ700は地方私鉄らしい外観ですが、車体幅2600mmだったり窓下に補強帯が突出していたり、今ひとつカッコよくありませんでした。2年前に国鉄キハ48000が登場したので、常総筑波鉄道(現在の関東鉄道)において「わが社もキハ48000だ!」ということになったそうです。もともと輸送力増強用として製造開始したキハ700ですが、会社のトップが「下館の客を東京方面に呼ぶのにいいじゃないか」と言ったため、急遽乗務員室内に湯茶接待用の流しを設置して特急「しもだて」号に仕立て上げることになったとのこと。屋根上にはアンテナが張られ、なんとラジオを聞くことができ、さらにサービスガールも乗務していた由。しかし、だれが考えても客が乗るとは思えず、実際その通りになったそうです。ちなみに1963年頃の常総線最高速度を資料で調べてみたら、75km/hでした。特急と称しても、ただ停車しなかった…というだけのようです。

 もともと輸送力増強用の一般車両だったので、その先の運命は決まっていたようなものです。下記の通り改造され、通勤車として使われていました。

 キハ48000という形式にしたり、特急として使うことにしたり、いずれも場当たり的という感じがします。キハ700、享年32歳でした。

関東鉄道キハ700の略歴
 1957年 キハ48000形キハ48001~48002として新製
 1962年 総括制御化、DA1A化、キハ701~702に改番
 1964年 ロングシート
 1975年 3扉化、ステップ撤去
 1989年 廃車

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写真2 キハ11(1997年撮影)

 こちらは日本国有鉄道のキハ48000で、のちのキハ11です。国鉄で廃車になったうちの3両が茨城交通(現在のひたちなか海浜鉄道)で結構長いこと使われていました。写真は茨城交通で廃車になった時に撮影したキハ11です。

 この車両を見てわが社の新車にもキハ48000という形式を付けたくなった…という感覚、今ひとつよくわかりません。