1.はじめに
東京メトロ日比谷線は、西麻布交差点近くの民有地を通って六本木通の下から外苑西通の下にもぐり込みます。前回は曲線の外側から見た状態をご紹介しましたが、今回は内側に関して記します。
2.空中写真
まず、前回と同一の空中写真を掲載します。
写真1は、日比谷線の霞ヶ関駅-恵比寿駅間開業(1964年3月)約1年前の風景です。まだ細かった道路の下に日比谷線は建設されました。
写真2を写真1と比較すると、主要道路が拡幅されていることがわかります。特に六本木通は北側に大きく拡幅されて写真1の4倍程度になり、その中央に高速道路が建設されています。その結果、日比谷線は高速道路の南側を走ることになりました。
3.現地の状況
写真2中の①と③~⑬は建物を、②は建物群を示します。また白い「○数字」は基礎が日比谷線トンネルと干渉していない建物、黄色い「○数字」は日比谷線トンネルの上に建っている建物です。
写真3は、六本木通南側の状況です。写真右に見える建物①をかすめて半径163m左曲線で曲がってきた日比谷線は、建物群②、建物③④の下を通っています。
写真4は、西麻布交差点南東側の状況です。奥に見える建物⑥と建物⑦は日比谷線トンネルと干渉していないため、それなりの高さを有しています。よく見ると建物⑦の角が面取りされていますが、これは日比谷線トンネルとの干渉を避けるためと思われます。
写真4の手前を日比谷線が右から左に走っているため、その上の建物③~⑤は背が低くなっています。
写真5は、外苑西通東側の状況です。写真4と異なる角度で撮影しました。
建物⑨は外苑西通に面している側こそ9階建ですが、日比谷線トンネルの真上になっている部分は建物⑤と同じく4階までしかありません。
建物⑩は6階建ですが、日比谷線トンネルの真上に位置する部分はその半分ほどに渡って壁面が斜めに切り落とされています。建物⑩の低い部分は3階までしかありません。日比谷線トンネルの真上に位置する部分の平均階床は4.5階ということになります。
建物⑬は特徴ある平面形ですが、基礎は日比谷線トンネルと干渉していないと考えられます。
写真5の右手前から左奥に向かって日比谷線が走っていますが、トンネルの真上に位置する建物⑤、建物⑧いずれも低階床であり、トンネルに過大な荷重がかからないようになっています。
写真6も、外苑西通東側の状況です。日比谷線は建物⑬の右側直下を走っています。
このあたり、1本裏通りに入ると意外と静かです。空地があったりするのも不思議な感じです。
写真7は外苑西通です。日比谷線は建物⑬の左側を半径163mで曲がりながら外苑西通に出てくるのですが、漫然と写真7を見ているとガソリンスタンドの下を日比谷線が走っているように勘違いします。実は私自身、初回現地調査の際に勘違いしてしまい、そのため再調査する必要が生じました。
4.まとめ
多くの地図において、日比谷線は西麻布交差点の中でぐいっと曲がるように記載されていますが、現実には民有地に大きく食い込みながら曲がっています。日比谷線トンネルの上には数多くの建物がありますが、地下にあるトンネルの影響を受けていることがわかります。
今回は、曲線内側から見た現地状況でした。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。