1.はじめに
都営地下鉄新宿線の東大島駅北側に、大島小松川公園の「スポーツ広場」があります。この下には新宿線の大島車庫があり、大島駅からここまで入出庫線が続いています。
今回から数回にわたって、入出庫線と大島車庫に関して記します。
2.空中写真とYouTube動画
まずは、岩本町駅-東大島駅間開業約1年後の状況(写真1)をご覧ください。東大島駅の南方に、まだ埋め戻し工事が完了していない入出庫線(複線)と留置線(複線)が写っています。東大島駅付近の本線(東行線と西行線の複線)に比べると約2倍の幅になっていることにご留意ください。
また、YouTube都営交通公式チャンネルで下記の動画が公開されています。入出庫線を走る回送列車に乗ることなどまずできませんから、貴重な動画です。よく見ると、入出庫線から留置線が分岐している状況もわかります。
【地下鉄】都営新宿線 前面展望①(大島車両検修場~大島)(https://www.youtube.com/watch?v=2I6glpRavLM)
これらの内容を現地調査結果と突き合わせ、矛盾が無いように経路(写真2)を特定していきました。
3.現地の状況
写真3は、坑口近くの風景です。右(北)に見えるのは東行線(本八幡方面へ向かう本線)と西行線(新宿方面に向かう本線)で、地下から顔を出して高架線になっていく様子がわかります。目の前の道路の下には入出庫線が並行していますが、このあたり(写真2の赤↑印)で分岐して複線になります。つまり全部で4本の線路が並んでいることになります。
入出庫線が複線から単線になる様子は、上記の動画4:40~4:52あたりで確認できます。この動画では、回送列車先頭からのトンネル内風景だけでなく、最後尾からのトンネル内風景も同時に写っています。そこで、まず回送列車最後尾のトンネル内状況より最後尾位置を特定し、編成長が200m(=20m×10両)であることから赤↑印の位置を割り出しました。
写真4および写真5は建物②をそれぞれ西側と東側から撮影したものです。入出庫線は、建物②前の道路下と道路側に突出している階段の下を走っているものと思われます。
写真6は、建物②の前から建物③を見たところです。入出庫線は建物③前の道路下と建物③の下を走っています。建物③にかかるあたりから、入出庫線は右に曲がり始め、東行線と西行線から徐々に離れていきます。
写真7は、建物⑥の前から建物③を見たところです。入出庫線は、私の足元に向かって曲がってきます。
写真8は、東行線(本八幡方面へ向かう本線)と西行線(新宿方面に向かう本線)を跨ぐ跨線橋から撮影した風景です。
建物④は写真1にも写っており、入出庫線の換気塔だと考えられます。「今だから話せる都営地下鉄の秘密」という本には、本線坑口両側の壁は荒川平均水位プラス7mにしてある旨記載されています。建物④の入口と換気口は本線坑口両側の壁よりも高い位置にあります。階段をわざわざ建物の外部に設置しているのも、洪水時にボートから乗り移れるようにということなのだろうと思います。
建物⑤および建物⑥は江東区東大島文化センターです。建物⑥はその本館、建物⑤は音楽スタジオです。建物⑤の平面形は、長方形の二つの角を落とした変則的な六角形です。建物④と建物⑥に挟まれた用地に無理やり押し込んだという感じです。入出庫線はこの真下を走っています。音楽スタジオに電車の騒音が伝搬してこないのだろうか…と心配してしまいます。
文化センターの裏は空地(写真9)になっています。入出庫線は右へ曲がりながら、建物⑦のすぐ脇を通り抜けています。建物⑦は写真1にも写っていますが、ぎりぎり入出庫線の上ではないと考えられます。
それに対して建物⑧は、その下を入出庫線が突き抜けています。建物⑧をよく見ると、継目が見えます(赤↓印)。この継目より右側が入出庫線の真上であると考えられます。地中の状況差異による不同沈下を吸収するために継目を設けたものと思われます。
写真10および写真11は、入出庫線の真上の風景です。毎度のことですが、そうと言われなければこの真下を電車が走っているようには見えません。
4.まとめ
都営地下鉄新宿線の東大島駅北側に、大島小松川公園の「スポーツ広場」があります。大島駅から「スポーツ広場」まで入出庫線が続いています。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。