最近の国土地理院地図は正確さが向上している

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1.はじめに

 地下に関する地図の記載は必ずしも正しくないものです。だからこそ「地下鉄はどこを走っているか」というシリーズのネタが尽きないわけですが、最近の国土地理院地図は正確さが向上しているようです。

2.国土地理院地図の地下鉄位置表記状況

 このブログを書くに際して、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」からダウンロードした写真データをよく使います。このサービスでは空中写真だけでなく、もちろん地図の表示も可能です。その方法は下記(1)~(4)の通りです。

 (1)国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス(https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1)をクリックします。

 (2)注意事項を読んで「同意する」のボタンを押すと日本列島の地図が表示されます。

 (3)「+」ボタンを押すと日本列島が拡大されます。マウスでドラッグすれば日本列島が動きます。

 (4)どんどん拡大して東京都心を表示します。

 さて、上記(1)~(4)の操作により都心の地下鉄経路を見ることができますが、手元に転がっている20年ほど前の国土地理院1万分の1地形図(もちろん紙地図)と比較するとずいぶん正確になっていることに気づきました。

3.正確に表記されるようになった例

 具体的にどのようなところが正確になったのかということに関して例を示します。いずれもネット地図各種は誤ったままですが、国土地理院の地図に関しては訂正されています。

日本橋川の鎌倉橋
【真実】丸ノ内線は鎌倉橋の下を走っているか?
 丸ノ内線は鎌倉橋の脇(上流側)を迂回

【誤のまま】ネット地図各種
 丸ノ内線は鎌倉橋の真下を走行

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「日本橋」平成11年(1999年)発行
 丸ノ内線は鎌倉橋の真下を走行
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 丸ノ内線は鎌倉橋の脇(上流側)を迂回

日本橋川の茅場橋
【真実】日比谷線はどこを走っているか(その3) 茅場橋付近
 日比谷線は茅場橋の脇(上流側)を迂回

【誤のまま】ネット地図各種
 日比谷線は茅場橋の真下を走行

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「日本橋」平成11年(1999年)発行
 日比谷線は茅場橋の真下を走行
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 日比谷線は茅場橋の脇(上流側)を迂回

隅田川永代橋
【真実】東京メトロ東西線は永代橋の下を走っていないというお話
 東西線永代橋脇(下流側)を迂回

【誤のまま】ネット地図各種
 東西線永代橋真下を走行

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「日本橋」平成11年(1999年)発行
 東西線永代橋真下を走行
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 東西線永代橋脇(下流側)を迂回

●汐留川跡の新橋跡
【真実】銀座線はどこを走っているか(その2) 新橋付近
 銀座線は新橋跡の脇(下流側)を迂回し、道路幅を利用して大きく右折

【誤のまま】ネット地図各種
 銀座線は新橋跡の真下を走行後、道路中心を直角に右折

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「新橋」平成12年(2000年)発行
 銀座線は新橋跡の真下を走行後、道路中心を直角に右折
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 銀座線は新橋跡の脇(下流側)を迂回し、道路幅を利用して大きく右折

●総理大臣官邸付近
【真実】総理大臣官邸の敷地内を地下鉄が走っている話
 丸ノ内線は総理大臣官邸敷地内と道路地下を走行

【誤のまま】ネット地図各種
 丸ノ内線は総理大臣官邸敷地外とザ・キャピトル東急H地下を走行

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「新宿」平成11年(1999年)発行
 丸ノ内線は総理大臣官邸敷地外とザ・キャピトル東急H地下を走行
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 丸ノ内線は総理大臣官邸敷地内と道路地下を走行

●弁慶濠
【真実】弁慶濠の水中を走る丸ノ内線
 丸ノ内線弁慶濠の真下を走行

【誤のまま】ネット地図各種
 丸ノ内線道路地下のみ走行

【誤】国土地理院 1万分の1地形図「新宿」平成11年(1999年)発行
 丸ノ内線道路地下のみ走行
    ↓(訂正されている)
【正】国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
 丸ノ内線弁慶濠の真下を走行

 

 まだまだありますが…このあたりで止めておきます。

4.なぜ国土地理院地図の正確さが向上しているか(推測)

 2019年7月、珍妙なる事故が発生しました。JR九州長崎本線トンネルで、天井から内部に貫通した掘削機に走行中の特急電車が接触破損したのです。

 報告によると…井戸試掘に先立ち国土地理院の地図を用いてトンネル位置の確認を実施。掘削場所はトンネルから80mほど離れていたため問題ないと判断。ところが掘削したら事故発生…。なぜトンネル内に貫通してしまったかというと、実は地図が誤っていたのです。

 この事故(事件か?)の後、国土地理院は「地下に関しては必ずしも正確に記載されているわけではない」旨、発表しました。しかし、国の機関が作成した地図に誤りがあるのは国家の恥とも言えます。

 上記のようなこともあり、国土地理院は徐々に確認しながら訂正しているのではないかと推測します。このことに気づいたのは多くの地図が誤っている事例…本所吾妻橋駅付近を書いていた頃のことです。国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスには浅草線経路が正しく記載されています。

 一方、ネット地図各種は今のところ誤ったままです。もちろん、そのうちに訂正されるかもしれませんが。

5.まとめ

 地下に関する地図の記載は必ずしも正しくありません。特にネット地図においてはそれが顕著であるように思われます。しかし、最近の国土地理院地図は正確さが向上しているようです。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…