1.はじめに
都営地下鉄三田線に関しては建設史がありません。そのため、道路下から大きく外れる神保町駅-大手町駅間の経路特定にはかなり手間を要しました。
その経路特定の全体過程を【地下鉄好きの方へ】三田線神保町駅-大手町駅間の経路特定手順に記しましたが、今回お話しするのは「三田線の上の変電所などの建物」に関してです。
2.三田線の上の建物
写真1および写真2は、三田線神保町駅-大手町駅間のうち、道路下から外れて走っている区間を示したものです。青い区間は開削工法、黄色い区間はシールド工法で建設されました。今回お話しする区間は建物④の真下以外、シールド工法で建設されたことになります。
建物③(興和一ツ橋ビル)の東側には、写真3のような建物④が建っています。窓が無く、上部に換気口があるという不思議な構造です。この建物はいったい何なのかというと…名称板(写真4)を見るとその謎が解けます。これは三田線の電車に電力を供給するための変電所なのです。ちなみに地下鉄六号線とは三田線のことです。
施工会社は大林組ですが、この建設会社は建物③およびこの付近の三田線トンネルも施工しています。時系列では下記のようになります。
1970年 7月 建物③(興和一ツ橋ビル)竣工
1971年 7月 建物④(錦町変電所)着手
1971年12月 建物④(錦町変電所)竣工
1972年 6月 三田線日比谷駅-巣鴨駅間開業
三田線は、この建物④の下を斜めに突っ切っています。
写真5および写真6は、建物④(錦町変電所)脇の道路から南側を撮影したものです。建物③~⑥の位置関係がよくわかります。三田線は、これらの建物すべての真下を斜めに突っ切っています。
こうして見る限りでは三田線トンネル(外径10.5m複線シールド)の存在は全くわかりません。
写真7および写真8は、建物⑥の東側から撮影したものです。建物③~⑨が写っていますが、建物⑨以外、すなわち建物③~⑧の下を三田線が突っ切っています。
建物⑥の脇には換気塔のようなものがあります。入口には「変電設備」と記された板が取付けられています。三田線のものかと思いましたが、すぐ近くに建物④(錦町変電所)がありますので、三田線の変電所ではなさそうです。
そこで、三田線建設当時の空中写真(写真10)を調べてみました。参考のため、同一範囲の写真2を再掲載してあります。
1971年4月ですから建物④(錦町変電所)は着手前であり、まだ存在しません。一方、換気塔(写真9)のある場所はどうなっていたかというと、地下構造物が建設されつつあるように見えます。周辺の建物に電力を供給している地下変電設備のように思われますが、詳細不明です。
3.まとめ
三田線は、建物④(錦町変電所)をはじめとして、いくつもの建物の下を斜めに突っ切っています。建物⑥脇の換気塔は三田線と関係のない地下変電設備のものと推定されますが、詳細は謎です。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。