【Y字部が好きな方へ】この線は食い込んでいるのか?

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1.はじめに

 通常の十字路と異なり、Y字形の交差点はいろいろと気になります。十字路ならば地下鉄のトンネルは素直にまっすぐ交差点を通り抜けているものですが、道路がY字形に交わっている場合はトンネルが民有地に食い込んでいるのかどうか、気になるのです。

 今回は、Y字部に食い込んでいるのかどうか、きわどい事例をご紹介します。

2.神宮前一丁目交差点で民有地に食い込む副都心線

 東京メトロ副都心線池袋駅-渋谷駅間は2001年6月に着工し、2008年6月に開業しました。この区間はその多くが明治通の下で、地図の記載に疑問を感じるようなところはほとんどありません。豊島区役所から雑司が谷駅付近までは明治通ではなく建設中の道路の下を走っていますが、こちらもどこを走っているのか疑問に感じる区間はありません。

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写真1 空中写真

 このように、副都心線はそのほとんどが道路の下なので、「地下鉄はどこを走っているか」という趣味的視点においては、あまりおもしろみの無い線区です。ただし、副都心線において「きわどい」と感じていたのが神宮前一丁目交差点でした。

 写真1は、神宮前一丁目交差点付近の空中写真です。南北方向に明治通が通っていますが、神宮前一丁目交差点で屈曲しながら他の道と交差してY字形になっていることがわかります。この屈曲部を、果たして副都心線は民有地に食い込むことなく通過できているのか、気になっていました。

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写真2 副都心線経路書込み

 写真2は、写真1に副都心線の経路を重ねたものです。この区間副都心線は外径9.8m複線シールドトンネルですから、副都心線ラインカラーの線の幅がトンネル外径に一致するようにしました。建設史を参照しながら線を描くと、副都心線明治通の幅をいっぱいに使い、神宮前一丁目交差点を通過していることがわかりました。曲線半径は253mですが、こうして見ると若干民有地に食い込んでいるようです。もちろん、曲線の内側は建物ギリギリです。

3.現地状況

 それでは…ということで、現地を確認しました。

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写真3 北から見た交差点

 写真3は、北から南を、すなわち副都心線A線(渋谷方面行)方向に神宮前一丁目交差点を見たところです。建物②は奥(南)の建物③よりも引っ込んでいることがわかります。副都心線はこの建物②のすぐ前(地下)を走っています。明治通には歩道橋がありますが、この橋脚と階段は副都心線トンネルの上になります。

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写真4 歩道橋から見た交差点

 写真4は、歩道橋の上から明治通を見たところです。奥が池袋方面ですが、副都心線のトンネルは奥(北)から建物①の縁ギリギリのところを通り、建物②の前を通って左手前(南)へ向かっています。建物①の前に見えるクリーム色の建物は換気塔ではなく、公衆便所です。

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写真5 建物②

 写真5は、歩道橋の階段から建物②の前を見たところです。副都心線のトンネル幅は、建物②の前から私の足元あたりまでとなります。建物②前の余裕を使えば床面積を増やせますが、副都心線が走っているため、これだけ余裕を設ける必要があったものと考えられます。

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写真6 建物②

 写真6は、歩道橋から降りて南方から建物②を見たところです。明治通との位置関係がわかります。よく見ると建物②の柱が、外壁面よりかなり引っ込んでいることがわかります。副都心線トンネルは外壁面ギリギリを通過しているため、建物②の基礎がトンネルのすぐ近くにならないようにしたものと推定されます。

4.まとめ

 Y字形の交差点を地下鉄路線が通過する場合、民有地に食い込むことがかなりあります。神宮前一丁目交差点も副都心線トンネルが民有地に食い込んでいます。この交差点に面した建物は、基礎がトンネルと干渉しないようにするため、柱が外壁面より引っ込んでいます。

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 千代田線はどこを走っているか(その6) 千駄木二丁目交差点

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。