【地下鉄好きの方へ】清正公前交差点付近の地下空間

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1.はじめに

 東京メトロ南北線清正公前(せいしょうこうまえ)交差点で曲がります。このあたり、地下に巨大な空間があって地上につながっているのです…。

2.並行する3本の地下トンネル

 南北線は、清正公前交差点の西側は目黒通の下を、同交差点の北側は桜田通の下を走ります。この目黒通の下には白金(しろかね)換気室という地下空間があります。そして桜田通の下にある白金高輪(しろかねたかなわ)駅との間に、下記のごとくシールドトンネルが3本並行しています。

 単線シールドトンネル(外径6.6m):A線(目黒→赤羽岩淵)
 複線シールドトンネル(外径9.8m):折返し用留置線
 単線シールドトンネル(外径6.6m):B線(目黒←赤羽岩淵)

 白金高輪駅で単線シールドトンネルは複線シールドトンネルと同一高さになりますが、それよりも手前(目黒駅側)では複線シールドトンネルより高い(浅い)場所に位置します。3本のトンネル断面は、ミッキーマウスの顔のような配置になるわけです。

3.巨大空間の地上風景

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空中写真(2017年8月)

 写真1は清正公前交差点周辺の空中写真です。目黒駅方面から目黒通の下を複線シールドトンネルで進んできた南北線清正公前交差点の西で白金換気室に至ります。これは開削工法で構築された延長53mの地下空間です。

 換気室の上方から2本の単線シールドトンネル、下方から1本の複線シールドトンネルが伸びています。

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写真2 白金換気室

 南北線A線を走る電車の最後尾から白金換気室を見た状態が写真2です。奥の方に曲がっているシールドトンネルが見えます。そして電車最後尾から20mほどのところに白金換気室の西側の壁があることがわかります。

 

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写真3 白金換気室上の風景

 白金換気室の真上は写真3のような風景が広がっています。写真奥の方で目黒通が曲がっていますが、この曲がり具合を写真2と対比することで、地上と地下の位置関係がわかるかと思います。

 

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写真4 白金換気室上の風景

 白金換気室上の風景を、A線電車が進んで行く方向に見た状態が写真4です。この下に延長53mの白金換気室が存在し、その四角い空間を突き抜けて電車が走っています。

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写真5 換気塔

 写真4の奥にちらりと写っていますが、清正公前交差点のすぐ近くに換気塔があります。建設史によると、換気塔の地上部は高さ10.35m、内径7mです。しかしそれだけではなく、この換気塔の地下には深さ44.48m、内径6.5mの立坑があり、南北線トンネルに接続されています。

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写真6 換気塔の連結送水管系統図

 万が一トンネル内で火災が発生した場合に消防車から水を送り込むため、換気塔には連結送水管が設置されています。写真6は連結送水管の系統図で、換気塔に取付けられています。白金換気室から白金高輪駅までのトンネル構造がよくわかりますね。

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写真7 清正公前交差点角の集合住宅

 写真7は、清正公前交差点の角に面して建っている集合住宅ですが、奇妙なことに白い建物の右側は15階床あるのに、中央部は6階床、左側は5階床しかありません。

 実はこの交差点において南北線トンネルは民有地に食い込んでいます。3本のトンネルのうち、いちばん内側のA線用単線シールドトンネルがこの集合住宅の下に一部入り込んでいるのです。容積率をめいっぱい活用しながらトンネル荷重制限部のみ階床を減らした結果、こうなったのでしょう。

 トンネルの干渉がなければ、左側の薄茶色の集合住宅のように素直な形状になっていたものと思われます。

4.まとめ

 清正公前交差点付近は3本のシールドトンネルが並行しています。地下には白金換気室という巨大な空間があり、トンネルには換気塔が接続されています。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。