1.ジャンパ連結器とは
列車は多くの場合、複数の車両を連ねたものです。車両どうしを機械的につなぐのは連結器です。しかし、連結された車両をひとつの列車として機能させるためには制御回路も接続しなければなりません。制御回路とは人間に例えれば神経のようなものです。
この制御回路を接続するためのものがジャンパ連結器です。いくつかの例を写真1~4に示しますが、車両端部に取付けられた栓受に、ジャンパ線両端の栓を挿入します。栓受の背後には制御回路線が伸びており、ツナギ箱(写真4参照)に入っています。車両の反対側にも同様に栓受とツナギ箱が取付けられており、ふたつのツナギ箱間には制御回路線が引き通されています。車両内部へ分岐する制御回路線はツナギ箱で接続します。
2.ジャンパ連結器栓受内部の配列
ではどのような制御回路線がジャンパ連結器により接続されているのか、初期の国鉄新性能電車である153系電車を例に示します(図5および図6)。153系の場合はふたつ並べてひと組になっており、制御側(内側:図5)と補助側(外側:図6)と称しています。表7と表8は、各線番号とその機能などを簡単に示したものです。
余談ですが、国鉄新性能電車の通勤用、近郊用、急行用、特急用それぞれの始祖は下記の通りです。本記事で153系を例に取上げたのは、始祖に近い系列の方が付属的なものが少なくてわかりやすいと思われたからです。
4扉通勤用 101系(1957年登場)
3扉近郊用 401系(1960年登場)
2扉急行用 153系(1958年登場)
1扉特急用 151系(1958年登場)
さて、これらをご覧になって「意外と本数少ないんだな」と思われたかもしれませんね。初期の国鉄新性能電車においてはこんなものです。
表7および表8の中身に関して、今後少しずつ説明していきます。
3.まとめ
ジャンパ連結器は、車両と車両の制御回路を接続するためのものです。初期の国鉄新性能電車において制御回路線は30本強に過ぎません。
【参考資料】
1.伊藤礼太郎他「電車の機器とツナギ」交友社(昭和51年改訂)
2.関東鉄道学園編「直流用新形電車教本」交友社(昭和55年改訂)
3.伊藤正治「新形電車空気ブレーキ装置解説」交友社(昭和44年改訂)
4.日本国有鉄道臨時車両設計事務所「401系交直流電車説明書」(1960年)
5.日本国有鉄道臨時車両設計事務所「401系交直流電車説明書付図」(1960年)
6.浅原信彦「ガイドブック最盛期の国鉄車輛3」ネコパブリッシング(2006年)
以上
ちかてつの
さかてつでした…