ぶよぶよの土地を走る有楽町線

今回は、東雲一丁目付近の有楽町線の経路に関してです。毎度のことではありますが、Yahoo!地図、Googleマップ国土地理院地図、その他の市販地図を比較すると少しずつ経路が異なっています。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図によると、豊洲駅を出た有楽町線A線の電車は晴海通りの下を走りますが、深川第五中学校前の半径600m左曲線で進路を若干北側に変えて徐々に晴海通りから反れ、東雲橋の北東側で東雲運河を渡ります。東雲運河の中央付近から半径500m左曲線になり、東雲一丁目を進みます。その先今度は半径400mの右曲線になり、辰巳運河を渡ります。半径500m左曲線の途中には換気塔No.126があります。

これで、正しい経路は特定できました。

ちなみにこの区間は、A線とB線それぞれ単線シールドトンネル(外経φ6.9m)になっています。シールドマシンは泥水加圧式ですが、超音波切羽崩壊検知装置が設置されていたそうです。地盤のN値は1~3(鉄筋を手で簡単に地面に突き刺せる程度)という柔らかさであるため、このような検知装置まで必要になったということなのでしょうか。


2.現地の状況

経路が特定できたところで、現地の状況を確認しました。

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写真1 東雲橋の豊洲

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写真2 東雲橋から見た東雲一丁目

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写真3 東雲一丁目の風景

豊洲駅から有楽町線A線の方向(南東)に向かって歩いていくと、東雲橋北側に空き地のような場所(写真1参照)があります。上記の通り深川第五中学校の前から晴海通りに対して緩い角度で有楽町線は斜めに走っており、写真1を撮影した私の足元を通過しています。その先、対岸の立体駐車場(写真2参照)の下も突き抜けています。

写真3は東雲一丁目に渡って立体駐車場を反対側(南東側)から見たところですが、この写真を見ているだけでは有楽町線がどこを走っているかわかりません。

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写真4 換気塔No.126

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写真5 換気塔No.126

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写真6 換気塔No.126の送水口

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写真7 換気塔No.126からの風景

ところが、建設中の高層住宅に近づいていくと…写真4のように大きな豆腐のような構造物が見えてきます。換気塔No.126(写真5参照)です。隧道内消防用の送水口は、A線トンネル用とB線トンネル用に分かれていることもわかります(写真6参照)。

写真7は、換気塔No.126を背にして撮影した風景です。高層住宅の間に空が見えますが、この真下を有楽町線が走っています。左に見えるタワーマンションプラウドタワー東雲キャナルコートで、有楽町線トンネルを避けるような向きに建っています。しかし、上記のような軟弱地盤の上に52階の建物を建ててしまうわけですから、すごい技術だと思います。

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写真8 有楽町線真上の公園

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写真9 有楽町線真上の辰巳運河

写真8はプラウドタワー東雲キャナルコート前の公園ですが、有楽町線トンネルの真上であることは全くわかりません。この場所で180度向きを変えて撮影したのが写真9です。辰巳運河の護岸工事をしている最中で、有楽町線トンネルの位置を示す赤白塗分けの棒が立っていました。ボール遊びをしている親子は、まさに有楽町線トンネルの真上です。

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写真10 有楽町線外面

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写真11 有楽町線中心

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写真12 有楽町線外面

護岸を見ると、赤白塗分けの棒だけでなく有楽町線トンネル位置が明記されていました。護岸工事が終わるとこれらの標記も撤去されてしまうんでしょうね。ちょうど良いタイミングでした。

これより先、有楽町線辰巳運河の中を突き進みます。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)
 2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)