朝潮大橋の下に潜む換気塔No.123

月島を出た有楽町線A線の電車は、朝潮運河晴海運河を渡って豊洲に向かいます。市販の地図、ネット地図いずれを見ても、朝潮大橋から豊洲二・三丁目の晴海通りまでほぼまっすぐ走っているように記載されています。しかしこの経路だと豊洲一丁目の日本ユニシスの建物の下を、それも中途半端な位置を走ることになります。本当にそうだろうか?ということで調べてみました。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図には朝潮大橋はまだ記載されていません。佃水門近くには換気塔No.123があり、有楽町線トンネルはそのまま真っすぐ晴海運河に突っ込んでいます。晴海運河の中央は中央区江東区の区境ですが、このあたりから半径350m左曲線になり、陸地(豊洲一丁目)に入るとすぐに今度は半径350m右曲線になります。そして豊洲二・三丁目の間の晴海通りの下にもぐり込みます。有楽町線はS字状にうねっており、日本ユニシスの建物の下は走っていないのです。ちなみにP.693図179よると、現在日本ユニシスの建物があるところは有楽町線建設当時、小野田セメントがあったそうです。


2.現地の状況

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写真1 朝潮大橋

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写真2 朝潮大橋の下

写真1は、朝潮橋から朝潮運河越しに朝潮大橋を見たところです。この大橋の真下を有楽町線は走っています。上記の通り、有楽町線開業時に朝潮大橋は存在しませんでした。

月島から朝潮大橋を渡り、地上に下りてみると…見慣れたメトロマークが路面に記されています(写真2参照)。近くに何かあるな…と思いながら見渡すと、換気塔No.123(写真3参照)がみつかりました。

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写真3 朝潮大橋下の換気塔No.123

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写真4 換気塔No.123

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写真5 換気塔No.123

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写真6 換気塔No.123

換気塔には出入口、送水口などが取付けられており(写真4参照)、いかにもといった感じです。よく見ると占用施設物の許可標識(写真5参照)があり、有楽町線A線とB線のトンネルがどこにあるか明記されています。私は2本のシールドトンネルの間に立っているわけですね。

換気塔上部(写真6)も撮影してみました。単なる地下への入口というだけでなく、ちゃんと換気できるようになっています。換気塔ですから当たり前ですが。

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写真7 朝潮大橋下の換気塔No.123

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写真8 豊洲一丁目

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写真9 豊洲一丁目

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写真10 豊洲二・三丁目

換気塔No.123と朝潮大橋との位置関係は写真7に示した通りです。橋の上を通っている限り、換気塔の存在に気づくことはありません。

朝潮大橋からは豊洲一丁目に建つ日本ユニシスの建物、その右奥のタワーマンションなどがよく見えます(写真8参照)。有楽町線晴海運河の中央付近からS字曲線で日本ユニシスの建物の脇をすり抜けています…というよりも、有楽町線トンネルを避けるように建物が建てられたという方が正解です。

春海橋を渡って豊洲一丁目に入り、朝潮大橋方面を振り返って見ましたが(写真9参照)、そうと知らないと有楽町線が真下を走っているようには見えません。この先、豊洲二・三丁目の境目を走る晴海通り(写真10参照)の真下に有楽町線はもぐり込みます。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)