今回半蔵門線の「その2」として取り上げるのは、永田町駅-半蔵門駅間です。
半蔵門線は渋谷駅から青山通りの下を銀座線と並行して走ってきます。ここまでは特に問題ないのですが、赤坂見附交差点から国立劇場西側の半蔵門通りにもぐり込むあたりまでは地図によりその経路がばらついています。
そもそも赤坂見附交差点は写真1のような状況で、青山通りのこの先は、真上(高架)と地下に首都高が走っています。このようなところを半蔵門線が走れるのだろうか?と疑問に感じますが、参考資料1(半蔵門線建設史)を見ると半蔵門線は赤坂見附交差点から先、青山通りの下を走っていないことがわかります。以下、現地の状況と対比しながら記します。
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永田町駅は、2本の単線シールドトンネルをルーフシールドトンネルで結んだ構造です。建設史P.370図4に永田町駅の図が掲載されていますが、これによると駅の真上は…
永田町駅の真上は、このようになっています。私が立っているところは青山通りの歩道ですが、その右側(南側)には広々とした衆議院議長公邸があります。青山通りをさらに進むと参議院議長公邸が並んでいます。まさにこの敷地内(歩道のすぐ右側)の真下に永田町駅があります。写真1を見ると青山通りはS字状にうねっていますが、半蔵門線は左にうねらずに半径245mの右曲線だけで赤坂見附交差点を通り抜け、衆議院議長公邸の真下にもぐり込んでいます。青山通りの下には首都高が走っていますが、半蔵門線永田町駅は青山通りの下にないため駅両端の立坑が首都高と干渉しないわけです。
平河町交差点すぐ近くの6番出口ですが、目の前が参議院議長公邸、右奥(南東側)が自民党本部ということもあり、このような車両がよく停まっています。
平河町交差点の反対側から6番出口を見たところです。樹木の茂っているところが参議院議長公邸で、建設史P.400先の線路平面図及び縦断面図によると、このあたりから右手前に半径508m曲線で青山通りの下に入ってきます。
写真5を撮影した場所と同一地点で視点を少し左側に動かすと、写真6のようなものが目に入ります。
写真6の建造物を近くで撮影したものが写真7ですが、換気塔にしてはちょっと違和感があります。東京地下鉄の表示が見当たらず、左手前の建物に「防災備蓄倉庫」という札が貼られています。左手前の建物屋上から階段が掛けられているのも不自然な感じです。
写真6~7の裏側に回り込んで撮影した状態です。上部に換気用の穴が開いているか否かYahoo!地図の航空写真で確認しましたが、よく見えませんでした。
さらに不自然さを助長するのがこの換気装置です。換気塔に換気装置をわざわざ設けるでしょうか? 防災備蓄倉庫の隣ですから、水備蓄用タンクとその臭気抜き気装置ということも考えられます。しかし、この高さに換気装置を設けるとそれ以上の部分はタンクとしての機能を果たさないわけで、これまた不思議です。
建設史P.400先の線路平面図及び縦断面図には平河町交差点付近に換気塔があると記載されていますので、考えられることを整理すると下記(1)~(3)のいずれかということになりそうです。
(1)この建造物は半蔵門線換気塔。換気装置(写真9)はおまけ。
(2)この建造物は水備蓄用タンク。半蔵門線の換気塔は参議院議長公邸の敷地内にあるかもしれない(航空写真では見えない)。ただし、建設史P.370図4と対比すると、公邸敷地内では位置的に少々無理がある。
(3)半蔵門線完成直後は換気塔があったが、埋めた。
最初現地確認をした時はこの茶色い建造物が換気塔だと喜んだのですが、建設史等で詳細を調べて再度現地へ出かけると、かえって謎が深まってしまいました。