福島交通モハ5318

モハ5300形(18号車と19号車)はモハ5114+クハ5215、サハ3000形の5年後(昭和46年)に新造された車両です。モハ5318+モハ5319という編成で走っていることが多かったようです。

 

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写真1~2 南先頭部から東側面(1984年)

サハ3000形の側面にオハフ50の顔を取り付け、パンタグラフを載せるとモハ5300形の出来上がり…という感じです。

写真1を見ると、制御用ジャンパ連結器2つの右隣に母線用ジャンパ連結器(赤色)が見えますが、モハ5318+モハ5319の連結状態を見ても制御用ジャンパ連結器しか接続していませんでした。モハ5318、モハ5319いずれもパンタグラフを上げているので問題なかったのでしょう。

 

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写真3~4 東側面(1985年)

こちら側の床下には、母線開閉器、主開閉器、接地開閉器、主制御器、遮断器箱、接地開閉器、電動発電機、電圧調整装置、蓄電池箱などの電気品が艤装されています。台車は日車NA-31(軸距2100mm)で、国鉄のDT21とそっくりです。モハ5012+5013と同等のものに戻ってしまったわけです。

となりのモハ5319との間は(写真4右側)、ジャンパ連結器だけでなく幌もつないでいません。

反対側(西側面)の床下は残念ながら撮影できていません。

 

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写真5 南西屋根上(1985年)

屋根上には国鉄153系に使用されていたような押込み形通風器が並んでいます。

 

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写真6 南妻面(1985年)

平凡そのものといった感じですが、それだけにムダのない美しさがあります。向かって右側には、今までの号車にはなかったパンタグラフ鈎外し用のひもがぶら下がっています。原始的な方法に戻ってしまったわけですね。

 

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写真7 運転台(1985年)

角ばった主幹制御器がちょっと珍しい感じです。加速はよく、乗車時に時計の秒針と速度計を見比べて測定したところ、起動直後の加速度は2km/h/s程度(国鉄103系と同等)でした。

全体的に平凡さを寄せ集めたような車両ですが、それだけに美しさを感じるモハ5300形でした。

参考資料
 1.「日本民営鉄道車両形式図集(上編)」鉄道図書刊行会(昭和51年)
 2.「日車の車輌史 図面集-戦後私鉄編」鉄道史資料保存会(1998年)
 3.「日車の車輌史 写真・図面集-台車編」鉄道史資料保存会(2000年)
 4.松原淳「福島交通」「鉄道ピクトリアル1987年3月臨時増刊号」P.152~155 鉄道図書刊行会(昭和62年)