福島交通モハ1211

モハ1211はモハ1200形の中でも「比較的」クセや謎が少ない車両です。
 (1)昭和28年(1953年):日車で111として新造。ただし実際には前年完成していた(届出遅れ)。台車はブリルMCB台車。
 (2)昭和31年(1956年):1211に改番。
 (3)昭和33年(1958年):台車は日車D-16に、主電動機は東芝SE160Aに交換。

資料によると、1980年代はD-16を履いていることになっています。しかしすでにご紹介したモハ1203の台車(D-16)とモハ1209~1210の台車(KS33L)、どちらと同じかというと…後者です。

 

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写真1~2 東側面(1985年)

こちら側の床下には主開閉器、母線開閉器、接地開閉器、主制御器、逆転器、主抵抗器など主として電気関係の機器が艤装されており、モハ1202~1203とほぼ同じです。

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写真3 南先頭部(1985年)

先頭部はモハ1209~1210とほぼ同じ形態ですが、連結器左右の台枠に突出部はありません。車端部の銘板には昭和27年と記されています。前述の通り、書類上の製造年(昭和28年)とは食い違っています。

 

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写真4~5 西床下(1984年)

前述の通り、台車はKS33Lと思われます。いつ、D-16から履き替えたのかはわかりません。台枠下面の配管は、モハ1209~1210よりも整然としています。

 

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写真6 北先頭部(1982年)

地方私鉄らしいかわいらしさがあります。台枠部の突出はなく台枠下端は一直線であり、スマートです。

 

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写真7~8 西側面(1985年)

こちら側の床下には元空気溜、補助空気溜、可溶器(空気圧縮機、ドア、ヒータ)、ブレーキシリンダ、電動空気圧縮機、戸閉抵抗器など主として空気関係の機器が艤装されており、モハ1202~1203とほぼ同じです。車体標記は下記の通りで数値はモハ1209~1210と同じですが、トンの表示は漢字ではなくtです。

・モハ1211の標記
 形式 モハ1200
 自重   30t
 換算 積 3.5
    空 3.0

 

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写真9~10 西床下(1984年)

やはり、台枠下面の配管が整然としているところに目が行きます。

当時モハ1200形は5両存在していましたが、今まで説明してきた通り大きく3種類に分類できました。いかにも地方中小私鉄という感じの車両たちでした。

参考資料
 1.川上幸義「福島交通(鉄道線)」「私鉄車両めぐり特輯(第Ⅲ輯)」P.10~17 鉄道図書刊行会(昭和57年)
 2.瀬古龍雄「35年前の東北私鉄」「鉄道ピクトリアル1987年3月臨時増刊号」P.54~58 鉄道図書刊行会(昭和62年)
 3.松原淳「福島交通」「鉄道ピクトリアル1987年3月臨時増刊号」P.152~155 鉄道図書刊行会(昭和62年)