半蔵門線も他の路線と同様、道路以外の地下を走っている区間があります。この区間の経路に関し地図によって差異があるという点も同様です。今回は半蔵門線の「その1」として、水天宮前駅-清澄白河駅間を取り上げます。
参考資料は「半蔵門線建設史(水天宮前~押上)」です。半蔵門線建設史は2冊あり、もう1冊の「半蔵門線建設史(渋谷~水天宮前)」はメトロアーカイブアルバムとしてネット掲載されていますが、今回参考にした方はネットに掲載されていないため、図書館で調べました。
この区間はほとんどがシールド工法(複線シールド:外経9.7m)ですが、いくつかの既設構造物の基礎杭と干渉します。建設史によると下記の建物に関してアンダーピニング(既設構造物に影響を与えないように基礎杭をつくり、荷重を受けかえる)工法を採用しています。
(1)郵船箱崎ビル(現在のタマビル日本橋箱崎)
(2)墨田川護岸
(3)デニーズ清澄店
それでも距離の割に少ないのは、墨田川以東(江東区内)にそれほど高い建物がないからだろうと思います。
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このあたり、首都高速道路の基礎含めて数多くの地下構造物があったため、シールド工法の予定を開削工法に変更した区間です。半蔵門線は私の真下から奥に向かって走っています。
半蔵門線は右手前から左奥に走っています。旧郵船箱崎ビルの基礎杭26本中7本が支障したそうで、シールド通過予定範囲の両側に厚さ1.8mの地下連続壁を構築、その上に厚さ3~4mの下受け梁を設けて建物からの荷重を伝えています。知らないと、そんな大規模な工事が行われたということは全くわかりません。
タマビル日本橋箱崎の前から箱崎ジャンクションを振り返って見たところです。まさに私の真下を半蔵門線は走っています。建設史によると、右側の建物が建つ用地にわずかに半蔵門線が食い込んでいます。この建物の壁面がその奥の建物より若干道路から引っ込んでいるのは、半蔵門線を逃げるためと思われます。
タマビル日本橋箱崎の前から隅田川の護岸を見たところです。半蔵門線は左に見えるタマビルの下から護岸に向かって斜めに走っています。
隅田川護岸からタマビルを振り返って見たところです。半蔵門線は右奥(タマビルの下)から手前に斜めに走っています。
Daiwaリバーゲートは隅田川護岸に接していますが、半蔵門線と干渉しない位置に建設されています。左奥には、基礎杭がもろに半蔵門線と干渉したタマビル日本橋箱崎が見えます。
この真下を半蔵門線が走っています。ここはもともと逆T型堤防だったところで、半蔵門線建設に際して基礎杭をつくり直した上で同形の堤防に復旧する予定でしたが、地元住民の要望によりスーパー堤防に変更されました。
写真7と同一地点から左(下流側)に視線を移すと、堤防が一部きれいになっているのがわかります。ここは逆T型堤防のまま残ったところです。改造後きれいに塗装し直したのでしょう。
スーパー堤防の上には時計が設置されています。下には写真10のような案内板が設置されていました。