千代田線は、神田川を渡ると(くぐると)半径800m左曲線で再度進路調整をしてニコライ堂の前で本郷通りの下にもぐりこみ、新御茶ノ水駅に至ります。
聖橋から見た神田川の風景です。地上を丸ノ内線、総武線、中央線が走っていますが、地下を千代田線が南北(写真左右方向)に走っています。
千代田線はこの真下を北から南へ貫いています。建設史P.541図66には千代田線建設当時の状況が記されていますが、高層部の下を走っているようなので、御茶ノ水ソラシティに関して調べてみました。
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御茶ノ水ソラシティの設計施工は大成建設です。同社の技術センター報にこれに関する記事が出ています。なかなか興味深いので、関係あるところを要約します。
(1)都市広場(低層部)とオフィス棟(高層部)の境目付近を千代田線が走っている。A線は完全にオフィス棟の真下になる。
(2)オフィス棟北東角の真下を丸ノ内線が斜めに突っ切っている。
(3)千代田線トンネル付近を中心に既存杭236本中169本を再利用している。その他に99本の新しい杭を打った。
(技術センター報の図4に杭配置図が掲載されていますが、千代田線のトンネルと丸ノ内線のトンネルを避けるように数多くの杭が打たれていることがわかります。)
(4)2階に高強度鋼材によるメガトラスを設け、上部からの鉛直荷重を地下鉄の両側に分散している。
地下鉄2路線の真上によく高層ビルを建てたものだと感心します。ちなみに再開発される前に建っていたのは日立本社ビルで、大成建設は施工業者のひとつだったようです。
参考資料
1.「東京地下鉄道千代田線建設史」帝都高速度交通営団(昭和58年)
2.大成建設技術センター報 第46号「御茶ノ水ソラシティ」小室努ほか(2013年)