千代田線はどこを走っているか(その8-1) 妻恋坂交差点-神田川

千代田線が道路下を大きく外れる区間がいくつかありますが、そのうちのひとつが「妻恋坂交差点-新御茶ノ水駅」です。

経路に関しては、建設史P.436先の平面図・縦断面図で確認できます。妻恋坂交差点付近から半径400mの右曲線で曲がり始めると共に、開削工法からシールド工法に変わります。そこからまっすぐに昌平坂に向かい、湯島聖堂をかすめて半径400m左曲線で若干進路調整をして、神田川と直交します。

建設史P.484には「シールドの一部が湯島聖堂の敷地を通過したので、その部分でA線とB線を連結して換気塔を設置した。ただしこの換気塔用地には史跡扱いの古井戸があったので難航した。」という内容の記述があります。さらにP.751には図19として換気室の設備図が掲載されています。

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以下、A線(綾瀬→代々木上原)方向に話を進めます。

 

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写真1 妻恋坂交差点

千代田線は昌平橋通りの下を走ってきますが、この交差点付近から西(写真右)の方へそれていきます。開削工法からシールド工法に変わるわけですから、シールド発進基地がこの写真のどこかにあったはずですが、位置はわかりません。

 

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写真2 千代田線換気口

妻恋坂交差点の80mほど南に写真2の換気口があります。ここを最後に昌平橋通りから換気口は消えます。この換気口から20mも離れていないところ(写真奥)にも換気口があるのですが、この間隔が狭さはトンネルが昌平橋通りから外れつつあることと関係あるのかもしれません。

 

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写真3 神田明神近くの階段道路

とても素敵な風景です。ここは千代田区ですが、10mほど南(写真右)に区境があり、その先は文京区になります。この階段道路中腹の地下を千代田線が左右方向に貫いていますが、そうと知らなければ全くわかりません。

 

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写真4 神田明神通り

写真の左右には10階を超える集合住宅が建っています。しかし写真中央付近だけは低い建物しかなく、妙に空が広くて違和感があります。

調べてみると、ここは千代田線シールドトンネルの真上なのです。もちろん、トンネルを避けるように基礎を設ければ高い建物でも建設可能ですが、土地の区画が狭いためにそれ相応の大きさを持った(トンネルをまたげるだけの基礎を設けられる)建物を建てられないということのようです。

 

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写真5 昌平坂

ここは区境です。東(写真左)が千代田区、西(写真右)が文京区になります。この昌平坂の下を千代田線は手前から奥に向かって走っています。奥に屏風のごとく建っているのは御茶ノ水ソラシティですが、千代田線はこの建物の下も貫いています。

 

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写真6 湯島聖堂

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写真7 千代田線換気塔

写真6は相生坂と昌平坂の交差点から見た湯島聖堂です。中に入ると、敷地内に写真7のような換気塔があります。このようなものが存在していることに、今まで気づいていませんでした。

 

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写真8 建物の間の空地

湯島聖堂(文京区)の換気塔手前から区境越しに千代田区(東側)を見たところです。換気塔向かい側の建物がなぜか凹んでいます。

 

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写真9 搬入口

もう一度昌平坂(写真5)に出て写真8の空地を見たところです。駐車場になっていますが、実は千代田線換気施設への搬入口です。建設史P.751図19に換気室設備図が掲載されていますが、換気室に設置された機器を更新する際、この駐車場の「フタ」を開けて機器を出し入れするものと思われます。

 

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写真10 街風景(千代田線真上の風景)

神田川南側の御茶ノ水ソラシティから妻恋坂交差点方面を撮影したものです。高層住宅の谷間を千代田線の電車が走ってくるのが見えるような気がします。

参考資料
 1.「東京地下鉄道千代田線建設史」帝都高速度交通営団(昭和58年)