岩手開発鉄道キハ301とその変速機

以前、キハ202をご紹介したことがありますが、今回はもう1両の気動車であるキハ301(形式キハ300)です。

岩手開発鉄道キハ202】https://me38a.hatenablog.com/entry/2018/11/18/125400

 

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写真1 外観

もともとは夕張鉄道が1952年(昭和27年)に2両製造したキハ200形で、外観的には国鉄キハ42000形とほぼ同じです。この2両のうち、キハ202が1975年(昭和50年)に岩手開発鉄道にやってきたということになっていますが、キハ201を部品取り用にして合体させたといううわさもあるようです。

北海道炭礦汽船キハ200形としての主要諸元は下記の通りです。夕張鉄道は1974年(昭和49年)に鉄道を北 海道炭礦汽船へ営業譲渡したため、参考資料3においては「北海道炭礦汽船」の車両として記載されてい ます。

 番号  :キハ201,キハ202
 全長  :20120mm
 車体長 :19000mm
 車体幅 :2600mm
 自重  :27.4t
 定員  :112人 (座席:68人 立席:44人)
 台車  :菱77型
 機関  :新潟ディーゼルLH8X型
 伝達装置:液体式←参考資料記載のまま
 製造初年:昭和27年
 製造所 :新潟鉄工

この中で気になるのは伝達装置です。

参考資料2によると「クラッチ乾燥復板式、変速機4段」となっています。さらに同資料によると「1957年(昭和32年)新潟21"HUC形流体継手を機関フライホイールクラッチの間に設けた」とのことです。したがって、液体式ではなく機械式です。

 

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写真2 変速機と機関

吊り枠に搭載された機械式変速機(左側)と機関(右側)です。変速機と機関の間に、太いスリット状の穴を設けた見慣れないものがはさまっています。この中に流体継手が収められているのでしょう。スリット状の穴は放熱(通風)のためと思われます。

 

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写真3 変速機

反対側から見た変速機です。左側に流体継手と思われるものが取付けられています。

私鉄らしい個性的な車両でした。

参考資料
 1.鉄道ジャーナル1980年3月号P.73 青木栄一「私鉄気動車の一覧表」
 2.私鉄車両めぐり特輯第9分冊(昭和52年) 小熊米雄「夕張鉄道
 3.日本民営鉄道車両形式図集(昭和50年印刷 昭和51年発行)
 4.気動車明細図-キハ41500,42500形-(昭和59年)