千代田線はどこを走っているか(その1-6) 町屋

6.町屋

千住大橋から京成の電車に乗って隅田川(荒川区と足立区の区境)を渡ると、緑町換気室がはっきり見えます。電車でここを何回も渡っているのに、換気室の存在には気づいていませんでした。

千代田線建設史によると、隅田川の下では地表面からシールド底面まで約30mになるそうです。意外と深いところを走っているんですね。ちなみにシールドトンネルのセグメント半径2900㎜、厚さ350mmとのことですから、トンネルの外径は6.5mです。

 

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写真1 A線の上あたり

隅田川西側(荒川区)の状況です。奥に緑町A換気室(足立区)が見えます。千代田線の線路はこのA換気室のすぐ脇(北側)を通ってここまで一直線ですから(千代田線建設史P.522参照)、写真左側の建物下あたりにA線があることになります。

 

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写真2 千代田線の真上近く

写真1の場所から80mほど西に移動して北方を撮影したのが写真2です。右側の茶色い集合住宅奥(北)に某工場がありますが、その敷地南端真下を左右方向にA線のシールドトンネルが走っているものと思われます。

 

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写真3 千代田線真上の某工場

写真3は、写真2の場所から20mほど北で撮影したものです。私は千代田線A線の真上に立っていることになります。隅田川の東(足立区)ではA線とB線は80m程度の間隔で走っていましたが、B線は「隅田川のこちら側:半径420m 川の向こう側:半径800m」というS字曲線を描いており、このあたりではA線との間隔が10~20m程度になっているようです。水色の縦長看板あたりをB線が左右方向に走っていることになります。

この工場の真下には千代田線の2本のシールドトンネルが並んでいるわけですね…。

 

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写真4 町屋ポンプ所

さらに30mほど北に進むと、某工場(写真3)の前を通り過ぎて東京都下水道局町屋ポンプ所(写真4)の前に出ます。奥(隅田川沿い)にポンプ室が見えますが、千代田線建設史P.522によるとB線はポンプ室の右端(南端)をかすめ、半径420mの曲線で某工場の真下に入り込んでいます。

 

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写真5 千代田線の上の公園

写真2~4の場所から西(町屋一丁目)は住宅密集地です。その中にぽこっと建物がない場所…小さな公園(写真5)があります。地図と千代田線建設史を対比すると、千代田線はこの公園の真下を通っているように思われます。ただし、地下に千代田線が走っているから公園にしたというわけではなさそうです。このあたり、半径420mの曲線で尾竹橋通りに向かって向きを変え始めています。

 

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写真6 尾竹橋通り近くの集合住宅

ここは尾竹橋通り近くですが、手前と奥のふたつの集合住宅の真下を千代田線B線が走っていると思われます。A線はこれらの建物から少し外れたところ(写真のさらに左側)を走っているようです。この区間は写真5と同様に半径420mの左曲線です。尾竹橋通りに向かってA線が上、B線が下の2階建てになっていきます。線路の勾配状況は、千代田線建設史P.436以降の路線図を見るとよくわかります。

 

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写真7 換気口

町屋二丁目交差点あたりで尾竹橋通りの下に入り、建設方法はシールド工法から開削工法に変わります。このあたりから根津駅南方まで2階建てトンネルです。尾竹橋通りの歩道には、写真7のような換気口がありました。

 

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写真8 町屋二丁目交差点

写真7と同一地点から撮った集合住宅(写真6の反対側)遠景です。この集合住宅地下をB線がくぐり、その右隣をA線が並行して奥へ続いているのが見える…ような気がします。

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北千住駅から町屋駅まで千代田線の真上を歩いてきましたが、Yahoo!地図、MapionGoogleマップ等と千代田線建設史P.522を対比すると、両者間の相違がよくわかると思います。どちらが正しいかは申すまでもありません。

以上で「その1」は終わりです。

参考資料
 1.東京地下鉄道千代田線建設史(昭和58年)