千代田線はどこを走っているか(その1-1) 北千住駅北半分

地下鉄の地下区間は用地買収含めた建設のしやすさなどを理由として道路下を走っていることが多いのですが、いろいろな事情で道路以外の地下を走っていることも結構あります。ではどこを走っているか、地図を見ればすぐわかりそうなものですが、これが意外とむずかしいのです。

今回は千代田線の「その1」として、北千住駅-町屋駅間をネタにします。

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この区間に関してYahoo!地図、MapionGoogleマップ等を見ると、こんな疑問が湧きます。

 (1)北千住駅南方、大踏切通りへの入り方が不自然
 (2)千住緑町で2本に分かれている区間の東西の屈曲が不自然
 (3)町屋駅北方、尾竹橋通りへの入り方が不自然

地上路線なら航空写真から正確な位置がすぐにわかりますが、地下の建造物は見えないので推定により記載しているのでしょう。

このような場合、いちばん信頼できるのは建設時の記録です。ありがたいことにメトロ(東京地下鉄)の建設史が最近ネット上で公開されるようになりましたので、千代田線建設史および関連情報参考にして現地状況を確認しました。

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1.北千住駅北半分

 

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写真1 2番出口

駅の場所特定は簡単です。現地で駅の出入口と地下ホームの間を行き来すればすぐわかります。写真1を撮影した場所が千代田線ホームの真上です。

 

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写真2 千住ミルディスⅠ番館

写真1の場所で180度反対側(北)を撮影したのが写真2です。北千住駅西口地区第一種市街地再開発事業で2004年(平成16年)に竣工した建物で、千住ミルディスⅠ号館と称します。名称は「千住→1010→1010のフランス語読み」でミルディスだそうです。主なテナントとして丸井が入っており、10~11階には足立区文化芸術劇場(シアター1010)があります。

 

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写真3 千住ミルディスⅠ番館拡大

0I0Iと1010が左右対称になっているのは単なる偶然だとは思いますが、おもしろいものです。ところで写真3をよく見ると、建物本体は0I0Iの部分までで、「THEATRE 1010」と記されている部分は単なるハリボテであることがよくわかります。

 

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写真4 ハリボテと低層部

ハリボテを裏から見ると写真4のようになっています。この部分の建物は低層なんですね。このように低層になっているので、建物本体(0I0Iの部分)と外観上の釣り合いを保つため上部にハリボテを設けたものと思われます。改めて写真2をよく見ると、建物本体と低層部の間に伸縮継目が見えます。基礎が別になっているということです。

このようになっている理由は申すまでもありません。真下に千代田線の駅構造体があり、低層部が駅構造体に載っているからです。荷重的にこの程度の構造物を載せるのが限界ということなのでしょう。

 

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写真5 千住ミルディスⅠ,Ⅱ号館と千代田線

写真5は北千住駅北方の千代田線トンネル開口部です。まっすぐ千住ミルディスⅠ号館(左奥の建物)の下に向かっていることがわかります。写真4に写っている範囲は「千代田線の真上は低層部のみ」という状態ですが、写真5に写っている範囲は建物が東(左)に伸びており、この部分は千代田線を完全にまたいでいます。建物の中を歩くとよくわかりますが、丸井各階の東側トイレは千代田線の真上に位置しています。

 

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写真6 千代田線北千住駅の真上

写真6は建物が東(右)へ伸びている状態です。それではなぜここより南(手前)は低層になっているかというと、真下の丸井連絡改札付近で東武線連絡地下通路が東へ90度折れ曲っているからです。つまり、千代田線を完全にまたいだ形にすると基礎が地下連絡通路と干渉するからだと推定されます。

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千代田線「その1」(北千住駅-町屋駅間)の1回目として北千住駅北半分を取り上げました。「その1」はまだまだ続きます。

参考資料
 1.東京地下鉄道千代田線建設史(昭和58年)