1986年、夏のある日、私は松本電鉄の新村駅にいました。許可を得て裏手に回ってみると…ハニフ1はまだ眠っていました。
写真1 車庫 写真2 ハニフ1(1986年撮影)
当時は現在のようにネットで調べるなどということなどはできず、雑誌などから得られたわずかな情報を基に現地へ出かけ、そこで現車を直接調べるしかありませんでした。現地へ行ったらすでに状況が変化していたということもごく普通でしたから、雑誌記載通りに眠り続けているハニフ1を見て感動したものです。
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それから約20年…。万世橋駅跡にあった交通博物館が大宮に移転して鉄道博物館になる際、なんとこのハニフ1が保存されることになりました。
この車両は、1904年(明治37年)に甲武鉄道飯田町工場で製造された電車のうちの1両です。甲武鉄道は1906年(明治39年)に国有化され、この車両は「国電」となりました。ちなみに甲武鉄道は現在のJR中央線の一部です。
【飯田町駅】https://me38a.hatenablog.com/entry/2018/11/18/165151
その後この車両は電装解除されてからもあちらこちらの鉄道を流れ歩き、松本電鉄(現在のアルピコ交通)で廃車になって眠り続けていたわけです。
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先日、久しぶりに鉄道博物館に出かけ、じっくり見てきました。100年以上前の車両が残っている奇跡を感じながら…。
写真3 ハニフ1(2018年撮影) 写真4 反対側(台枠下部は棒で支持)