DE10(その1)

機関車の内部構造を営業運転中に見ることはまずできません。それだけに工場の一般公開は構造を知るための絶好の機会となります。

 

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今回のネタはDE10です。ディーゼル機関車のボンネットは、なんとなく「電車と同様に台枠と一体なのではなかろうか」と思ってしまいがちですが、そうではありません。1枚目の写真をご覧になればわかる通り、ボンネットは台枠の上にのっているだけです。

キャブ中央の黒い部分は煙突ですが、その部分のボンネットはどこ?…と思って周囲を見渡したら、片隅に置かれていました。2枚目の写真がそうです。(前後逆になっていることにご注意ください。)

 

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3枚目と4枚目の写真は、DML61ZB機関(連続定格出力1350PS)です。DML61系の機関は最大1500PSの連続定格で使うことも考えて基本設計されているそうですが、実現はしていません。ノッチ数はDD51量産車以降の標準通り14で、調速機の3つの電磁コイル励磁/消磁組合せによります。

 

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5枚目の写真はDW6液体変速機です。小さくまとまっているように見えますが、この中に3つの液体変速機と充排油装置(速比に応じて自動的に1~3速切替え)があり、さらに正転/逆転、高速/低速を切替えるクラッチ機構と歯車列が収納されています。内部は解説書の写真しか見たことがありませんが、「芸術作品」です。

この変速機は構造の都合上、正転と逆転で減速比がわずかに異なっています。例えば低速段の3速では「正転:1.051 逆転:1.048」であり、0.3%ほど差があります。車輪径の差異と比べれば取るに足らない値ですが…。

余談ですが、DWはDrehmomentWandler(ドイツ語:回転力変換機)の略です。