車両限界

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写真は115系の改造先頭車です。切妻なので車体断面形状がよくわかります。裾(赤い□の部分)が絞られているのは、車両限界からはみ出さないようにするためです。

では、日本国内のいわゆる在来線の車両限界(幅に関して)が「現在」どうなっているかというと、下記の通りです。

 基本的に3000㎜
 レール面から高さ1160㎜まで:2850㎜

115系の車体基本幅は2900㎜ですが、そのままだと車体下部が2850㎜を超えてしまうため写真のようにわざわざ絞っているわけです。

ではもう一歩踏み込んで、なぜプラットホーム付近の車両限界幅がせまいのでしょうか? 

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本件に関する疑問を解く調査報告が、鉄道総合技術研究所から公開されています。

【ホーム付近の建築限界と車両限界の変遷】

国鉄・JRの在来線に関して車両限界の幅の経緯をごく大ざっぱにまとめると…

(1)1872年(明治5年):日本の鉄道開業
(2)1900年(明治33年):幅2743㎜(図2)
(3)1921年(大正10年):幅3100mm(図4)
(4)1929年(昭和4年):幅3000㎜(図5)
(5)1987年(昭和62年):基本幅3000㎜、ただし車体下部は2850mm(図9)

現在の幅3000mmというのは90年ほど前に規定されたものということになります。ただし図5を見るとプラットホーム付近も(狭くならずに)3000㎜です…。

実は、「規定したはいいけどプラットホームの改修が間に合わないから、その部位は車体側を暫定的に小さくしておこう。」という話になって、図7に示したような縮小限界というものが適用されていたのです。115系が登場したのは1963年(昭和38年)で(4)と(5)の間ですから、「暫定的に裾を絞った」形状で製造されたということになります。

結局プラットホームの改修は進まず、延々と「暫定的に裾を絞った」車両が製造され、国鉄が消滅する際にようやく(あきらめて)規定の方を現実に合わせた…というのが実態のようです。